苦しいと感じたら「逃げて」ほしい

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──ちなみに、私自身は本書で書かれたコミュニケーション方法は、ADHDの人だけでなく普通の人に対しても応用できるのではないかと思いました。

ダイスケ それはあるかもしれないですね。いい加減さを認めることもある程度は必要だと思います。今の日本の社会って、複雑に物事を考えないと生きていくのが難しい状況だと思うんですけど、複雑にすればするほど人生の難易度も上がっていきますよね。よりシンプルにしていった方が、人生を謳歌しやすいのではないでしょうか。みんなレゴブロックみたいな細かいパーツで人生を組み上げようとするんですけど、そうじゃなくて、大きいブロックで物事を考えるのも重要だと思います。

 

──確かに、何歳までにこれくらいの貯蓄がないといけないとか、キャリアアップするなら何歳までに何回転職しなければならないとか。人生を細かく組み立てることで、息苦しさを感じている人も多いと思います。

ダイスケ いろんな強迫観念がありますよね。僕は苦しいと感じたら「逃げて」と伝えたいです。達観した意見だと反発を感じるかもしれませんが、苦しみ続けるくらいなら騙されたと思って逃げてほしい。少なくとも日本は、全部捨てても死ぬような国ではないですから。誰にとっても人生は1回きりですから、自分の人生を大事にしてほしいです。

ちゃんまり これって夫婦生活にも言えますよね。私たちは発達障害の壁をなんとか乗り越えましたけど、できるかどうかは相手にもよると思うので。これ以上無理だと思ったらとっとと逃げてほしいと思います。まずは自分の幸せを優先してほしいですね。

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『ADHDの旦那って意外と面白いんよ 本気で発達障害に向き合った夫婦の物語』
著者:ナカモトフウフ 講談社 1540円(税込)

沖縄での暮らしぶりを紹介する動画を配信し、人気を集めているYouTubeクリエイター、ナカモトフウフによるエッセイです。夫・ダイスケさん、妻・ちゃんまりさんそれぞれの視点から、ADHDとの向き合い方、夫婦生活の悩みやその解決法を、包み隠さず語り尽くします。ADHD以外の人とのつき合いでも応用できそうな事例が満載で、コミュニケーションの参考書としてもお勧めの一冊です。


取材・文/さくま健太
 

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