働き盛り世代が「気象病」で気をつけるべきことは?
→ 放置すると「うつ病」のきっかけになることもあります。

「その痛み、放置しないで」気象病の第一人者が伝える、天気による不調との向き合い方_img0
 

気をつけてほしいことは、大きく二つあると思っています。

一つめは、「痛みを放置してしまう」ことです。日頃から頭痛があっても、実際に病院を受診する方は3割ほどしかいないと言われています。大半の方は、「頭痛ぐらいで」「肩こりぐらいで」と考えて、マッサージや鎮痛剤でその場の痛みだけ解消してしまう。それでは根本的な原因を解決することにならず、少しずつ症状が悪化してしまう場合があります。

 

痛みが悪化すると、天気の悪い日や季節の変わり目に関係なく、一年中体調を崩している状態になってしまう可能性も。そうなるとメンタル面でも「自分はなんでこうなってしまったのか」と落ち込みがちになり、うつ病になってしまうことがあるのです。

また、普段から自分の身体をケアする習慣がある女性に比べ、男性は身体へのメンテナンス意識が低く、痛みに対しても我慢してしまう傾向があります。「天気が崩れると調子が悪い、なんて人には言えない」と考える男性も多く、症状を悪化させやすいので、なおさら注意が必要です。私の患者さんの中には、実際に気象病による慢性痛が悪化したことがきっかけで「うつ病」になり、会社辞めてしまった男性も少なくありません。


「気象病」をすべての不調に当てはめないことも大切


ただし、不調のすべてを気象病に当てはめて考えない、ということも大切だと私は考えています。これが、気をつけてほしいことの二つめです。

原因がはっきりしない不調に対して、「もしかしたら気象病かも」と疑うための知識を持っていただくことは、不調改善へのひとつの指針になります。ですが、何でもかんでも「台風が来るからきっと気象病だ」「天気が回復したら治るはずだ」と考えては、気象が原因ではない、大きな病気のサインを見逃しかねません。自己判断による決めつけを行わずに、不調があればまずはしっかり病院で診てもらうことが肝要です。


取材・文/金澤英恵
イラスト/徳丸ゆう
構成/山崎 恵
 

 

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