慢性痛の治療学の中でも必ず言われることですが、痛みというのは心地よさがなく、必ず「つらい」という感情を伴います。マイナス感情が生まれると「不安」が生まれ、不安が痛みを強めてしまうこともしばしば。慢性痛はいつまでたっても痛みが取れない症状ですから、余計に気持ちを落ち込ませます。

 

日記をつけて、自分の体調がどのようなタイミングで悪くなるかを「見える化」することは、痛みを強める原因となる不安を軽減することにも役立ちます。私たちは風邪を引いて熱が出ても、大体数日あれば治るだろう、と過去の経験からわかっているので、それほど不安になることはありませんよね? それと同じような効果が、気象病の日記でも得られると考えています。

ですから「悪かったこと」だけではなく、「良かったこと」も書くようにするといいでしょう。天気の影響を受けずに家事ができた、少々天気が崩れても寝込まなかったなど小さな成功体験を積み重ねていき、それを自覚することで、気象病の症状が改善していく方もいらっしゃいます。

 


具体的にはどんな治療を行いますか?
症状や先生によって異なりますが、「痛みを取る」ための治療が主になるはずです。


気象病は、患者さんによってじつに様々な症状があります。なので、治療法も一概にこれとは言えません。すぐに痛みにアプローチするのか、姿勢の悪さが原因だからその改善からはじめましょうとなるのかは、先生によっても治療方針は異なりますので、診察時によく相談してみるといいですね。いずれにしても、今ある不調をどう取り除いていくかを考えながら、治療を行ってくれるはずです。

私の「気象病外来・天気痛外来」では、天気が崩れる前に予防的に飲むめまいの薬をお出ししたり、内耳のむくみを解消するために「五苓散(ごれいさん)」という漢方を処方することもあります。こうしたお薬についても、それぞれの先生が扱っているお薬の内容や、先生のポリシーに合致しているかどうかなども関係してきますので、症状を伝えながら相談してみることが大切です。


取材・文/金澤英恵
イラスト/徳丸ゆう
構成/山崎 恵
 

 
 
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