目には見えない「高次脳機能障害」はつらいよ
リハビリ室が並ぶフロアに到着したら、それぞれの担当が待つ部屋に向かいます。
8月のある日のリハビリは、9時の「臨床心理」からスタート。内容は、一言でいうと「脳のリハビリ」です。
私も倒れるまで、まったく知らなかった「高次脳機能障害」という言葉。これは脳卒中や頭部の怪我などで脳の一部が損傷を受けた際に、言語や記憶などの機能に障害が起きることを指します。
言葉が出てこなかったり、注意力や記憶力が低下したり、新しいことが覚えられなかったりするほか、感情や行動が抑制できなくなるケースも。計画的に物事を進められなくなる、道に迷いやすくなるなど、以前できたことができなくなるのです。
「臨床心理」とは、こうした障害がどの程度起こっているのかを診断し、改善するためのリハビリを行います。
この通称「心理」は、入院患者にダントツ不人気!! なぜなら、もんのすごく疲れるからです。とくに、倒れて間もない入院直後は本当に苦痛。頭がぼーっとしている状態なのに、暗算や記憶についてのテストなどを「これでもか!」というほどやらされるのです。
以前は自信があった計算や記憶力も、びっくりするくらい鈍っていました。これは加齢のせい? それとも脳の損傷? きっと、両方なのでしょう(悲)。
けれども「脳の機能も、徐々に回復しますから」と担当の臨床心理士ににこやかに言われ、ホッと胸をなでおろしたのでした。
1時間の「心理」が終わり、10時から「言語療法」の部屋へ。急性期病院でSな言語療法士にスパルタ指導を受けたおかげか、このころにはだいぶ言葉がなめらかに出るようになっていました。
でも……、言いにくい言葉をひたすら言わされるのは、やはり苦痛。1時間のちに、ほうほうの体で、病室に戻りました。
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