時代の潮目を迎えた今、自分ごととして考えたい社会問題について小島慶子さんが取り上げます。
SATCの続編が話題だけど、サマンサファンの私はまだ見ていません。50代っていったい若いのかそうでないのかよくわからない、と年下の知人が言いました。50歳は、“まだ”なのか、“もう”なのか。
あとひと月ほどで丸半世紀生きたことになる私も、そんな問いに揺れています。
幼い頃、9歳年上の姉に憧れていた私は、年齢を重ねることにネガティブな感情を抱いたことはありませんでした。「早く一人前になりたい!」というもどかしい気持ちは、世間から十分大人だと認められるようになってからはなくなりましたが、それはようやく40歳を超えた頃です。
この社会で女性をやっていると、若い女子としてチヤホヤされるか、若くない女としてぞんざいに扱われるかのどっちかで、一人の人間として見てもらえるようになるには、長い時間とかなりの労力を費やさねばなりません。「僕は優秀な女性が好きなんだよ」とか「君は中身は男だからな!」などの“お褒めの言葉”をいただいているうちはまあ、舐められているわけですね。
その手の発言をする人々の性的関心の対象から外れ、ようやく女子枠でジャッジされなくなってからは、随分と生きやすくなりました。だけど、慣れ親しんだ十の位の4とお別れしてもうすぐ5との10年にわたるお付き合いが始まろうという今、閉経を控えた身体の変化もあり、老いの寂寞を感じることが増えてきました。私は結局女の体をうまく乗りこなすことができないまま、一つのステージを終えるのだな、と。
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