世界中でケイト・ブッシュ人気再来
少しだけ衣装の話を引っ張ります。イレブンの衣装がどうも冴えなく映りもしました。シーズン3では親友の1人、マックス(セイディー・シンク)の助けもあってオシャレ番長に昇格していましたが、カリフォルニア版イレブンは迷足中の様子。これにも実は理由がありました。
パリス曰く、「彼女(イレブン)は自分がどこに向かっているのかわからない。マックスが側にいないので、アクセサリーを付けたり、どんな服がいいか教えてくれたりすることがなく、不安なんです」とのこと。
これを理解すると、シーズン4の第4話でマックスがフォーカスされる話がより一層愛おしく感じるはずです。そして、シーズン4のマックスのテーマソングとも言うべき挿入歌も超話題です。
その曲とはケイト・ブッシュの「神秘の丘」。ケイト・ブッシュは70年代~80年代を中心に活動していたイギリス出身の女性シンガーソングライターです。この彼女の曲がストレンジャー・シングスの影響で、37年ぶりに米Billboard Hot 100のトップ10にランクインする記録を作っています。イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、スイス、スウェーデンなどでも1位獲得もしくはチャート入りし、世界中でケイト・ブッシュ人気が復活しています。
こんな動きから、3つ目の「古くて新しい80年代」は音楽にも象徴されています。これまでも70・80年代ミュージックが効果的に使われ、シーズン4では他にもデッド オア アライブのディスコソング「You Spin Me Round (Like a Record)」やトーキング・ヘッズのロックな「サイコ・キラー」などウォークマンで聴きたくなるような曲が揃っています。そんな中で、ケイト・ブッシュの「神秘の丘」はシーンとのシンクロが突出しているように思います。
ケイト・ブッシュ本人が公式サイトで驚きと喜びの声と共に発信した「ストレンジャー・シングスファンによって、この曲に全く新しい命が吹き込まれた」というこのコメントからも、楽曲とハマったことが伝わってきます。ホラー映画から衣装、音楽まで、古くて新しいものを作り出してしまうストレンジャー・シングスは本当に憎い。そう強くも感じます。
前回記事「障がい者の親から生まれた健常者の子は「特別な誰か」ではない。映画『私だけ聴こえる』が描く普遍的な葛藤」はこちら>>
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