昨年放送のドラマ『TOKYO MER〜走る緊急救命室〜』(TBS系)に続き、またしても脚本家・黒岩勉さんの手腕にやられました。最終回を終えて、もうすぐ1週間が経つのに、いまだに『マイファミリー』(TBS系)のことが頭から離れません。冷めきっていた鳴沢家が、再生してからの未来。東堂(濱田岳)と、妻の亜希(珠城りょう)は、ふたたび家族として歩き出すことができるのか。まだまだ、『マイファミリー』の世界を見ていたかった!

最終回の世帯平均視聴率が、16.4%を記録(ビデオリサーチ調べ、関東地区)するなど、大きな話題を集めた『マイファミリー』。そこで本稿では、“ロス”まっただなかにいる筆者が、本作の伏線を全力で回収していきたいと思います。

 


心春ちゃん(野澤しおり)の安否は、いかに?


東堂が、「(心春ちゃんに)会えたのか?」と聞いた時、亜希は涙ながらにうなずきました。そのため、“生きていた”と解釈する人もいますが、葛城(玉木宏)が「心春さんと同じようにどこかに遺棄して〜」という発言をしていたため、心春は亡くなっています(※“遺体を遺棄”とは言っていませんでしたが、階段から転げ落ちてから5年間も放置されているので、生きている可能性は0に等しいです)。娘を救い出すために5年間もがいてきた東堂にとって、あまりにもつらすぎるラストでした。

家族愛のベクトルがちがうだけで、まったくちがう結末に


本作に登場した人物は、それぞれが“家族”への強い愛を持っていました。温人(二宮和也)は、娘が誘拐された時、「友果(大島美優)さえ助かればいい」とあっさり犯人を取り逃していましたよね。香菜子(高橋メアリージュン)も、会社という名の“子ども”を守るために、社員である鈴間(藤間爽子)の悪事に蓋をした。そして、黒幕の吉乃(富澤たけし)も、家族との平穏な生活を守るために、どんどん罪を重ねていきました。

誘拐事件を起こすくらいなら、不倫がバレる方が救いの余地があったのでは? と思いますが、吉乃は家族に嫌われることを恐れてしまったのでしょう。温人の、「怖がる存在じゃないんだよ、家族は」という台詞が、胸に刺さります。Uruさんが歌う主題歌『それを愛と呼ぶなら』の歌詞に出てくるように、ボタンを掛け違えてしまったら、また重ねていけばいい。それが許されるのが、家族というものなのに。

 
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