ファイナンシャルプランナーとして、20年以上さまざまなご家庭の家計相談に乗ってきたという黒田尚子さん。そこで確信したのは「お金を貯めている人は部屋が片づいている」ということだそう。逆に貯金がない人の家は散らかりがちで、“家計に関する資料もスッと出てこない”ことも多いのだとか……(震える筆者)。そんな「日々の行動」と「貯蓄の効率性」との相関性をファイナンシャルプランナーの視点から読み解いたのが、黒田尚子さんの著書『お金が貯まる人は、なぜ部屋がきれいなのか 「自然に貯まる人」がやっている50の行動』です。

難しいお金の理論ではなく、「お金に対する思い込み」の本質を明らかにして、毎日の行動を見直すヒントを教えてくれる本書。「え? こんなことが貯金に関係あったんだ!」というテーマがたくさんあり、筆者は発見と共感と反省の連続に「ドッグイヤー」をつけまくった結果、本の厚みが約1.3倍になってしまいました。そこで今回は本書から、玄関とキッチンに「お金が貯まらない人が “ためこみがち”なふたつのモノ」についてご紹介します。

 
 


知らぬ間にお金を失っている「チリツモ消費」


お金を貯めたいご家庭にとって大敵ともいえるのが、日々のちょっとした消費行動の積み重ね。ブランド品や高額な買い物をしているわけではないから、「これくらい使っても、大丈夫じゃない?」とついつい浪費を続けてしまいがちです。

しかし、1回が少額であっても、それが頻繁になるとかなりの金額になります。恐ろしいのは、そんな「プチ浪費」の習慣がほかの消費行動にも影響を与えてしまうこと。そんな「チリツモ消費」が家計に与える影響と対策について考えてみましょう。

保冷剤がたまる家に、お金は貯まらない


会社員の安藤和夫さん(仮名•40代)のご家庭もチリツモ消費が止まらない典型例です。
「専業主婦の妻は私が会社から帰る頃を見計らって、『今日は一生懸命、家事して疲れたからご褒美のスイーツ買ってきて』としよっちゅう連絡してきます。ショートケーキ、シュークリーム、モンブラン……。コンビニスイーツじゃ満足できないそうです。私は甘いものは苦手なので、妻と子どもの分だけ、乗り換えのターミナル駅のデパ地下で買います。惣菜を買うこともあり、そのたびに増えるのが、『保冷剤』です。ご褒美スイーツという名の浪費のたびにもらう保冷剤で冷凍庫は季節に関係なくパンパンです」

冷凍庫に、デパ地下やスイーツ店でもらった保冷剤がたまっているとしたら……もしかすると知らずに「プチ浪費」を重ねている証拠かもしれません。