ここでは、ご自身と夫との境界線を考えてみましょう。
心理学では、自分と他者を隔てる見えない線のことを「心の境界線」といいます。バウンダリーともいいます。「ここまでが自分、ここからが相手」「私は私。人は人」というようなことを示す心理的な区切りです。

多くの方たちは、「ここまでは相手が踏み込んできてもOK」「ここからはNO」という自分なりの境界線を持っていますが、モラハラ関係では、NOと言えなかったり、この境界線がうやむやになることによりトラブルが生じます。

あなたの境界線はどのパターン?


①境界線がない

 

無防備な状態です。人との距離感がわからずに、踏み込んだり踏み込まれたりしがちです。境界線を自覚していないために、NOと言えずに、相手の境界線の中にとりこまれたりする危険な関係です。無意識のうちに人間関係でトラブルを起こしやすい状態でもあります。

②壁のような境界線

 

他人に対して心の壁をつくり、自分のまわりに頑丈な囲いを作っているような状態です。人との交流が少なく、自分を守るために心を閉ざしています。人に近づくことをせず、侵入されそうになると頑なに拒みます。

③柔軟性のある境界線

 

しっかりとした柔軟性のある理想的な状態です。外からの圧力も跳ね返し、臨機応変に対応しながら自分を守ります。人間関係に悩むことが少ないパターンです。

④部分的に弱い境界線

 

いろいろなパターンがまじりあった境界線ですが、たいていの人は「境界が弱い部分」を持っているため、④の方もたくさんいらっしゃいます。

 

多くの方は、それぞれの場面で境界線を使い分けています。
たとえば、小さな子どもがいる母親は、「あれをしなさい、これしなさい」と①のような境界線がない状態で子どもに接します。職場では上司の圧力から自分を守るために、あえて②のような壁の境界線をつくっているかもしれません。また、受験生が勉強に集中している時期なども自ら②のような壁をつくっているといえます。

境界線は、疲れている時やネガティブな感情になっている時には曖昧になりがちですし、時と場合によって形や状態が変わることは当然です。大切なのは、今自分がどの状態なのかに気づけるかどうかです。

モラハラの被害を受けてしまう方は、①や④の場合が多くなります。モラハラ夫は、本能的に妻の弱点をキャッチするので、境界線がなければすぐに、また、曖昧な場合は隙を見て入ってきます。夫婦という親密な関係になったからこそ、互いの立ち位置を曖昧にせずに、しっかりとした境界線を持つことが重要となります。