投資というのはリスクと引き換えにリターンを得る方法ですから、利益を大きくしようと思った場合には、高いリスクを引き受ける必要があります。逆に言えば、リスクが低ければ、リターンも必ず小さくなります。したがって、リスクがゼロ、あるいは極めて小さいにもかかわらず、儲けが大きいという手法は存在しません。

投資初心者がぶつかる「誰を信じればいいの」問題。あふれる情報の取捨選択のコツ_img0
イラスト:Shutterstock

ところが投資の世界では、この当たり前のルールが十分に守られていないように思います。リスクが小さく、利益も大きいと称する手法が多数、紹介されており、結構な割合の投資家がこうした情報に惑わされています。「世の中、美味しい話は存在しない」というのは社会常識だと思いますが、当然のことながら、投資にもこの理屈が当てはまると考えるべきでしょう。

 

とはいえ、そうした中でも、何とかうまいやり方がないのかと考えるのが人間であり、実際、有利な投資手法というものは存在しています(絶対に儲かるという意味ではなく、相対的に有利になるという意味です)。では、自分が得た情報がそれに該当するのかは、どうやって判断すればよいのでしょうか。

有力なヒントになるのは、誰がその情報を発信しているのかです。

金融機関などの担当者は、基本的に商品を売りたいと考えていますから、自身が進める投資商品のことを悪くいうはずがありません。これは一般的なショッピングでも同じことですが、店員さんは基本的に商品を売りたいのだということを理解しておく必要があります。金融機関はアナリストなど専門知識を持った人に情報発信させていますが、肩書きはどうあれ、商品を推奨する側であることを忘れてはいけません。

ネット上のインフルエンサーなどの場合には、投資の実績についてよくチェックした方がよいでしょう。世の中には、自身では投資の経験がほとんどなかったり、あっても大きな利益を得たことがないという人が、大勢、投資のアドバイスをしています。

皆さんは例えば野球が上手くなりたいと思った時、野球には詳しいものの野球をしたことがない人と、甲子園の出場経験のある人とどちらにアドバイスを求めるでしょうか。答えは言うまでもないことですが、投資の世界では、前者にアドバイスを求めてしまう人が後を絶たないのです。

成功した人の情報でも、そのまま鵜呑みしてはいけません。時代や相場の状況が変わると、以前はうまくいっていた手法が通用しないこともありますし、人によってそのやり方が合う合わないという問題もあります。どのような情報であっても、あくまで参考にとどめ、最後は自分自身の頭で考えるしか方法はありません。これは簡単なことではありませんが、継続することでコツをつかむことができます。投資に限った話ではありませんが、継続と時間は強い味方と考えてください。
 

投資初心者がぶつかる「誰を信じればいいの」問題。あふれる情報の取捨選択のコツ_img1
 


前回記事「日本でベンチャー企業が育たないワケ。政府の起業支援策「創業5年は個人保証免除」の効果は?」はこちら>>

 
  • 1
  • 2