「できないこと」ではなく、「できること」にフォーカス! 


1日のメインとなるリハビリは、病室とは別の階にあるリハビリ階で行います。時間になるとみんないっせいに移動するため、廊下やエレベーターはけっこうな渋滞。リハビリ室に着くと、それぞれの担当者のところに向かいます。

ずいぶん杖での歩行が慣れてきた10月のある日、「病室のある4階フロアと作業療法室内は車イスではなく杖歩行でOK」と許可がおりました!

油断をするとカクッと右ヒザが抜けてしまうものの、ずいぶん安定して歩けるようになったのです。というわけで、作業療法室で杖歩行していると、「杖でOKになったんですね! 歩き、よくなりましたね〜」といろいろな方に声をかけられるのでした。

毎日同じ人々と顔を合わせるため、みんなのリハビリの進み具合はとっても気になります。「いいなあ、杖歩行!」とうらやましがられることもしばしば。でも、リハビリ室から病室への移動は車イスですから、まだまだ先は長いのです。

長いリハビリ入院生活、大切なのは患者同士の人間関係【48歳ワーママ脳卒中闘病記】_img0
ある日、首都高の向こうに見えた虹。「虹が出てるよ!」「月がきれいだよ」などという声が聞こえると、みんないそいそと窓のほうに向かいます。

脳卒中や脳外傷後の後遺症は、程度も回復度合いも本当に人それぞれ。入院後すぐにスタスタ歩き出す人もいれば、車イスからなかなか立ち上がれない人もいます。「わあ、あの人、もう右手でものを持ってる!」などと驚くこともしばしば。

 

でも、上を見てはキリがありません。できないことよりも、できることにフォーカスしよう、と自分に言い聞かせるのでした。

そうして右脚は順調に回復していきましたが、右手はまだまだ。なんとか指を折り曲げることはできるようになりましたが、「ひらく」ということがなかなかできません……!

見た目は、以前と変わらないいつもの「私の手」なのに。そう思うと、やはり悲しくなるのでした。