「できないこと」ではなく、「できること」にフォーカス!
1日のメインとなるリハビリは、病室とは別の階にあるリハビリ階で行います。時間になるとみんないっせいに移動するため、廊下やエレベーターはけっこうな渋滞。リハビリ室に着くと、それぞれの担当者のところに向かいます。
ずいぶん杖での歩行が慣れてきた10月のある日、「病室のある4階フロアと作業療法室内は車イスではなく杖歩行でOK」と許可がおりました!
油断をするとカクッと右ヒザが抜けてしまうものの、ずいぶん安定して歩けるようになったのです。というわけで、作業療法室で杖歩行していると、「杖でOKになったんですね! 歩き、よくなりましたね〜」といろいろな方に声をかけられるのでした。
毎日同じ人々と顔を合わせるため、みんなのリハビリの進み具合はとっても気になります。「いいなあ、杖歩行!」とうらやましがられることもしばしば。でも、リハビリ室から病室への移動は車イスですから、まだまだ先は長いのです。
脳卒中や脳外傷後の後遺症は、程度も回復度合いも本当に人それぞれ。入院後すぐにスタスタ歩き出す人もいれば、車イスからなかなか立ち上がれない人もいます。「わあ、あの人、もう右手でものを持ってる!」などと驚くこともしばしば。
でも、上を見てはキリがありません。できないことよりも、できることにフォーカスしよう、と自分に言い聞かせるのでした。
そうして右脚は順調に回復していきましたが、右手はまだまだ。なんとか指を折り曲げることはできるようになりましたが、「ひらく」ということがなかなかできません……!
見た目は、以前と変わらないいつもの「私の手」なのに。そう思うと、やはり悲しくなるのでした。
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