お疲れの右腕と左腰を、やさしく癒す天使たち


なかなか回復しない右手ですが、そのうちに別の問題も出てきました。それは、肩から二の腕にかけての痛みです。原因ははっきりとは特定できないものの、回復する過程で、肩や腕が痛くなる人は多いよう。

痛くて腕を上げることができず、思うようなリハビリができない毎日……。

「今のうちに、どんどん動かさないと回復が遅くなるのに!」と、もどかしさが募ります。そう、脳卒中後の回復曲線は、発症後3カ月間にグンと上がり、6カ月後まではゆるやかに。その後、ほぼ横ばいになってしまうといわれているのです……!

あせる私を「痛くない範囲でいいですよ」「腕が動かせないなら、指を徹底的にやりましょう!」とやさしく導いてくれるのは、担当の作業療法士さん。新卒ホヤホヤのフレッシュ女子で、「今日もよろしくお願いします!」と、毎日輝くような笑顔で迎えてくれるのです。

リハビリは、ベッドやマットに寝そべってのマッサージ&ストレッチからスタート。心身ともにリセットしてから、お手玉落としなどの地味〜なリハビリに臨むのでした。

右腕の痛みと同時に私を悩ませていたのは、左腰から脚にかけてのコリ&痛み。頼りない右脚をフォローし続けて数ヶ月、生まれてこのかたこんなに酷使されたことのない左腰&脚は、毎日とってもお疲れのようす。

しかも、右手を動かすたびに、なぜか左の下半身にものすごく力が入ってしまうのです。酷使されるだけでなく、右半身にパワーを送る役割まで担わされ……、左腰くん、本当にごめんよ。

長いリハビリ入院生活、大切なのは患者同士の人間関係【48歳ワーママ脳卒中闘病記】_img0
リハビリの合間にほっと一息。たくさんリハビリをして、たくさん本を読む毎日。

そんな私の左腰の救世主は、担当の理学療法士であるクール女子です。こちらのリハビリも作業療法と同様、マッサージとストレッチから始まります。カチコチになっている左腰やお尻を「やわらかくな〜れ、やわらかくな〜れ」と呟きながらマッサージしてくれる理学療法士さんの姿に、これまたほっこりさせられるのでした。

 

担当の療法士だけでなく、かかわった方々は天使のような人ばかり。「ひさしぶりに担当しましたけど、すっごく歩きがよくなってますね!」「指が、ちょっと動くようになっているじゃないですか!」などと、みんなに回復を喜んでもらい、思わず鼻の穴が膨らんでしまう私。

退屈だと思っていた、長期にわたる入院生活。個性豊かな患者さんやスタッフの方々に囲まれて、のろのろと、でも着実に日々は過ぎていくのでした。
 

>>次回は、私の長期入院中の家族のようすをお伝えします。
 


文/萩原はるな
写真/萩原はるな、Shutterstock
構成/宮島麻衣

 

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