時代の潮目を迎えた今、自分ごととして考えたい社会問題について小島慶子さんが取り上げます。

結果に驚きはありませんでした。2021年は156ヵ国中120位、2022年は146ヵ国中116位。すっかりお馴染みになった世界経済フォーラムのグローバルジェンダーギャップ指数ランキングでの日本の順位です。男女格差のない状態を1.0とした格差を示す指数は、昨年は0.655、今年は0.650で、むしろ僅かに悪化しています。先進7ヵ国中最下位、東アジア太平洋地域19ヵ国でも最下位。状況は一向に改善しません。毎度のことながら、医療や教育へのアクセスでは男女格差はほぼなく、政治・経済分野での男女格差があまりにも大きいため順位を大きく下げています。

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日本で暮らしている女性の中には「自分は特に困っていないし、騒ぎ過ぎなのでは」と思う人もいるかもしれません。「女性ばっかり注目されて、男性差別だ」と感じている男性もいるでしょう。なぜ女性を支援するような施策ばかりが話題になるのか。それは今現在、実際に女性が性別を理由に様々な機会から排除されているからです。女性差別はない、あるいはあっても問題ないと思っている人には、あたかも女性ばかり贔屓されて男性が差別されているように感じられるのでしょうが、それは現状認識が間違っています。人口の半分に当たる人がもう半分の人よりも機会に恵まれず、排除されているのを放置してはならないというのは当然のことです。