女性も男性も悩ませる「本当の友達がいない」問題は格差問題かもしれない


でも多分、女性にはそんな男友達が欲しいなあという人が少なくないんじゃないでしょうか。私も欲しいです。これまでだって、仕事などで知り合った男性で話の合う人とは、もっと話したいなあ、個人的に友達になりたいなあと思うことはたくさんありました。だけど「お茶しませんか」と提案したら「俺に気があるのか?」などと警戒されるのではないかと思うと、ああ、こんな女の見てくれいらねえよ! 俺に男の着ぐるみをくれ! と無念に思うことが多々ありました。女を人間として見られる男はいないのか? と。

こういう話をすると、女性からも男性からも「はいはい、モテ自慢ですか」などと言われるのも、非常に煩わしいものです。なんであらゆる物事をモテ文脈でしか理解できないんでしょうか。世紀末的恋愛商業主義に洗脳されすぎだろと、心底うんざりです。(80〜90年代は万物を性愛に変換する思考が習慣化されており、セクハラパワハラ的な言動も"笑い事"だったのです)


そのあなたの言ってる「モテ」って、昭和的語義で言うと女性は性的消費財としての需要が高いかどうかっていうことだからね。男性はどれだけヤレる男か、という評価ですよ。そんなもので人を測るのをいい加減やめたらどうだと辻々に札を立てて周知したい。

「男の着ぐるみをくれ!」男女の友達関係を阻む社会の格差と恋愛脳に隠れた思い込み_img0
イラスト:shutterstock

最近、「独身中年男性友達いない問題」がネットで話題になりました。私が仕事で参加した30歳前後の女性たちとのイベントでも、一番のお悩みは「本当の友達がいない」でした。今年4月に公表された孤独。孤立に関する内閣府の調査では全体のほぼ4割の人が孤独を感じており、中でも20〜30代の割合が高いという結果が出ました。ネット社会で見かけ上の友達が増えた現在も、本音では安心して繋がれる人間関係に飢えている人が多いのですね。

 

友達がいない、少ないという悩みと、日本の社会の階層化が進んでいること、そして世界有数の男女格差大国であることは無関係ではないかもしれません。
特に中年期以降は、経済的・社会的な格差が大きい相手と対等な友人関係になるのは難しいものです。異なる階層とは接点が少ない。自由に使えるお金の額も違います。生活実感や文化的背景が異なるので、友達になるには想像力を働かせて相手の話を傾聴し、共通言語を共創するというそれなりの知的な作業が必要になります。それを面白いと思えない人にとってはかなりハードルが高いでしょう。