「スタッフの今日のコーデ」の私服姿にファンの多いエディター・松井陽子さん。記事の中でも松井さんのスタイリングにもよく登場する、「もはや体の一部のよう」という最愛のファッションアイテムの魅力をお届けする連載企画です。今回訪れたのは、ニットとカットソーのブランド、SLOANE(スローン)。ものづくりの背景やこだわりの数々などについて、ディレクターの小峰明彦さんにお話を伺いました。
 

 

ニットだけじゃない。
私が「SLOANE」のTシャツを選ぶ理由

今回お話を伺ったスローンのディレクター小峰明彦さん。小峰さんのこだわりが詰め込まれているのは、ニットだけではなかった!笑。 素材とシルエット、縫製そして色、襟のリブなどのディテール。スローンのTシャツ、そのすべてに理由がありました。小峰さんがニットの下に着ているのはコットン天竺のTシャツ。この日の私たち、おそろいです!

ヘインズのTシャツにLEVI’Sの古着の501を素敵に着こなしている人が憧れの対象だった高校時代。あるいは、時々古着のカレッジTシャツだったか。それはもはや体にも記憶にも刻み込まれた、私にとっては永遠のスタイルです。

薄くて、カサッとしたボディの風合いや、ネックのリブが少し伸びたりするのが表情になっていくさま。そんなふうにTシャツは、着て、自分のものに育てていくものでした。

好きなのは今でも変わらないけれど、でもそのスタイリングは今の自分とは重なりません。それは、若さの溢れるみずみずしい素肌と体があったから楽しめた着こなし。年齢を重ねた今の私にちょうどいいのは、もう少し優美に体を包み込んでくれるTシャツです。


「ニットにインする」ための一枚が
“大人の白Tシャツ” として大人気に


ここ数年、大きく変化したアイテムの1つがTシャツだと思います。素材も、そして値段も”大人”向けに設定されたTシャツは年々進化しています。その流れ、”きれいめTシャツ”のトレンドセッターになったのがスローンでした。

その当初、プレスの森内さんの「ニットにインするためのTシャツを作った」というお話がとても印象的でした。クルーネックのニットの下に着るとちょうどいいバランスで首元や袖口、裾から白が覗く設定のサイズ感。確かに、ニットのインにちょうどいい長袖Tシャツって探してもなかなか見つけられなかったので、とても納得できました。それを作ったというのは、さすがニットブランド、目からウロコでした。

超長綿という素材に初めて出会ったのも、実はこの時。なめらかで、ほんのりと光沢感のあるつややかな表情はこれまで知っているコットンとはまったく異なるもの。表情がとても繊細で、Tシャツなのにどこか優雅で。その場で白と黒をオーダーして帰ったのを覚えています。

袖を通してみると、つやっとした表情がとってもきれいで、潤いをもたらしてくれるかのようなしっとりとした風合い。そして、なんとも上品な光沢感。ニットのインナーだからといって、まったくもって下着ではありませんでした。インだけなんてもったいない! 以来、私にとってのパーフェクトなロンTはこれ一択です。
 

つやめきを味方にして、
Tシャツ×デニムの“今”の正解形に

着ているのはコットン天竺のロングTシャツ。現在の仕様はUVカット機能もついてさらに進化しているそうです。 現行のアイテム:60/2 コットン天竺UV長袖Tシャツ¥11550(税込) その他、松井さん私物:デニム/リーバイス サンダル/ジャンヴィトロッシ ネックレス/LARICA リング(右)/THE STORE by C’ リング(左)/オーダーメイド  ブレスレット/エルメス

好きが過ぎて、じつはこのTシャツ、もう数年間も着ているという……!(笑)小峰さんにも驚かれましたが、現役スタメンです。こんな風に一枚で着たり、ニットにインしたり。愛用という言葉の通り、年中着ています。

そしてまた小峰さんを驚かせたのが、誤って乾燥機に入れてしまったことが何度となくあるという事実。

「いやいや、乾燥機は避けましょう。コットンだから確実に縮むし、シルエットも風合いも変わりますから」と、小峰さんもさすがに苦笑い。でも、……というのもなんですが、少しコンパクトになったシルエットも実は私好みであるので、ますます愛が深まっているという。私の「今日のコーディネート」でも一番出場率が高いかもしれません。

そして、今の私にとってはこのTシャツがLEVI’Sの501に合わせるための一枚です。ロンTになったところ、そして黒というのが現在の正解形。若かりし頃のヘインズと同じ感覚でこのTシャツが私にはいい雰囲気です。他にも、ちょっと甘めなスカートや、色や柄などの挑戦ボトムス全般に。黒のロンTがこんなにも便利だなんて!というくらい、私には欠かせない存在です。

 

それを叶えるのは、やっぱり上品な素材の表情に尽きると思います。超長綿とはその名の通り、綿花の繊維の長さが35mm以上のものを指していて、綿花の繊維は長いほど細くなり、糸にすると反射率が高くなる。それが「つや」になるのだそう。繊細でありながらその糸は強く、さらにスローンでは洗濯を重ねてもシワや毛羽立ちが起こりにくくするための加工も施すことで、洗濯を繰り返しても、つやめきやなめらかさが失われにくく、なめらかな風合いがキープできる、とのこと。

私のように乾燥機に入れてしまうというのは本当はNGですが、意外と風合いは保たれていると思います。そもそも、Tシャツを数年間も着続けることもないですよね(苦笑)。全体的に私のはよろしくない例のようですが、それでもそこまで着古した感じにはなっていないのは素材の潜在的な実力なのかな、と。

 
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