20代の彼女ができた元夫。支払いが滞るようになり...
「元夫に今度は二回りも年下の20代前半の彼女ができたと噂で聞いたときは驚きましたが、そのタイミングで、離婚時に取り決めていた支払いがだんだん滞ったり、渋られたりするようになりました。私が彼と出会ったときと同様、そっちにお金を使いたくなり、私のほうの出費が嫌になったんだと思います。
もちろん当初は私も抵抗しましたけど、法律の抜け穴をくぐるようなあらゆる手段を使われるのでキリがなくて......」
弁護士を通して戦うことも、夏美さんはもちろん検討しました。しかしながら、圧倒的に力のある元ご主人と真正面から戦うのは、やはり怖い気持ちが勝ったそう。
「元夫は知らない間に財産を隠していて、基本的に『ないものは払えない』というスタンスでした。もちろん優秀な弁護士も雇っているので、労力や心労を考えると、私が一人で太刀打ちするのは本当に大変なんです」
そうこうするうちに、経済的に追い詰めるような元ご主人の攻撃はエスカレート。
「お金が足りないなら兄弟の一人は彼が引き取るから、もう一人は当時通っていたプリスクールから公立の施設に転園させてお前の実家で暮らせと言われたり......。自分の子どもでもあるのに、なんて酷いことを言うんだと思いますが、そんなこと言っても何も変わりません。
息子たちは年子で仲良く支え合って暮らしているし、離婚によって父親と、彼の連れ子だった兄とも離れたあとで、少なからず不安定な状態です。離ればなれにするなんてあり得ない。これ以上環境を変えることだけは絶対に避けたいと思いました」
そこで夏美さんは、あらゆる感情を押し殺して、二人の息子さんを育てる最低限の環境と、養育費の死守に徹することに。
「元夫はミーハーというか見栄っ張りなので、息子たちに小学校受験をさせたんです。どうにか難関校に合格すると、周りにも褒められたんでしょうね。彼は機嫌が良くなって、学費などはすんなり払ってくれました」
夏美さんの仰る通り、自分の子どもでもあるに関わらず、元ご主人がこうした発言や行動に出るというのは本当に驚かされます。
また真っ向勝負を避け、正当な手段で子どもたちの将来も見据えた策を達成した夏美さんの母としての強さには胸を打たれました。母親一人で仕事と育児を両立させながら受験に臨むのは、並々ならぬ苦労とプレッシャーがあったと思います。
「でも、その他のものはかなり手放すことになったんですよ。今住んでいる家もそうです。期限つきで住まわせてもらっているということになって、数年したら出て行かなければならないんです」
夏美さんはそう言って、少し疲れたように微笑みました。
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