理系ワールドで彼女が「光る」理由


当時、有名国立大学の研究室の博士課程に在籍していた夫の英明さん。香織さんは就職を控えた私立大学文学部4年生でした。就職までの半年ほどという条件で、縁もゆかりもない研究室のアルバイトが決まった香織さん。女性が少ない理系の職場で「女子大生のアルバイトが来た!」と歓迎されたそうです。そこで出会ったのが英明さんでした。

「第一印象は、とにかくシャイで真面目そうな人だなと。私はもともと人見知りをしない性格なので、新人としてなるべく明るく元気に振舞っていたと思います。それが理系の男性だらけの研究室で新鮮に映ったのか、歓迎会の夜に改まったメールが来て、デートに誘われました」

 

のちに打ち明けられたところによると、英明さんは香織さんに一目で好意を持ったそう。

「私、コミュニケーション上級者が多い文系女子の中ではアラが目立ってさっぱりモテないんですけど、理系畑に行くと急にモテるんです。たぶんサービス精神でざっくばらんに一生懸命話しちゃうので、あまり女性に縁の無い生活の男の人には、いい感じに見えるのかも……ははは」

そう力なく笑う香織さんは、少しお話を伺っただけでも頭の回転がずば抜けて速く、責任感の強い性格だとわかります。寡黙な英明さんは、そんな香織さんに惹かれたのでしょう。 

 

思い込んだら一筋、英明さんは出会って3カ月後に、「結婚を前提にお付き合いしてください」と申し込んでくれたそう。研究室でも人望があった英明さんにそう言われ、香織さんは喜んで交際をスタート、なんとそこから半年で婚約をしました。

「私はテレビ番組の制作会社で社会人としてスタートを切ったところで、正直結婚は早いかな? と迷ったんです。でも、内定先の先輩と話す機会があり、数少ない女性陣が口をそろえて、『ADは入社したら平日ほとんど家にも帰れない。結婚するアテがあるならば今しておかないと、下手したら20年くらい遅れるよ』と言うので、よし! と決意しました。正直に言えば、名門国立大学のドクターコースの彼、というのもツボで。自分が完全な私立文系なので、白衣姿の彼を見るとキュンとなってしまうんですよ……」

さて、結婚の報告のため、英明さんのご実家を訪れた二人。

そこで香織さんを待っていたのは衝撃の1日でした。