「あなたの結婚生活は、幸せですか?」
この質問にまったく躊躇いなく「はい」と答えられる夫婦はどれだけいるでしょう。
おそらく多くの方が即答はできず、言葉を濁し、あるいは驚くべき夫婦事情を口にするかもしれません。
この連載では、現代の男女が抱える問題について取材。結婚生活は山あり谷あり。そのとき人は、どのような選択をするのでしょうか?
今回お話を伺うのは、「超・学歴偏重一族」の夫を「養って大学院に通わせていた」過去を持つ香織さん(36)。
前編では、名門国立大学の博士課程で学んでいた夫・英明さんとの出会いから結婚に至るまでを伺いました。結婚の挨拶で一族の学歴相関図を出されたり、こちらの親族の学歴をメモされたりして面食らったという香織さん。しかし「彼を好きな気持ちと、若かったので結婚自体に浮かれる気持ちもあって、目を瞑ってしまいました」と率直に語ってくれました。
後編では、ついに不協和音が聞こえ始め、やがて香織さんの裏切りによって崩壊してしまった結婚生活について伺います。
香織さん(仮名)36歳
職業:前職はテレビ番組制作会社のアシスタントディレクター。現在は派遣社員。
家族構成:4歳年上の元夫・英明さん
義実家に行くのが憂鬱だった理由とは?
「お互い激務だったので、20代後半はかえって平和な結婚生活でした。顔を合わせるのは土日だけ。子どもを作る余裕はなく、夫婦というよりも同棲の延長のような感じです。
ただ、数カ月に1回くらい、夫の実家に行くのが憂鬱で。最初から最後までずうっと家族か親戚の学歴自慢をしているんです。ほかの話題はほとんどなくて、『誰それがどこそこ大学に合格して、首席で卒業して、どうのこうの』って。始めは素直にすごいなあと感心していましたが、だんだん、これはこれで物凄く視野が狭いんじゃないかと思うように。
何より辛かったのが、夫もまんざらでもないんだと目の当たりにすることでした。家では口数が多くない夫が、ふんふんと鼻の穴を膨らませて小刻みに頷く様子を見ていると、なんとも言えない気持ちになりました。もしかしてこの人もそちら側のひと!? って。この頃から、少しずつ、ズレが生じていたのかも知れません」
転機は香織さんが30歳の時。大阪の研究室から英明さんに講師のオファーがあります。香織さんは、一緒に大阪に転居するか、東京に残るかの決断を迫られることになったのです。
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