こんにちは、ブランディングディレクターの行方ひさこです。ものぐさなわたしの日々と身のまわりにある「もの」との付き合い方などをゆるゆると綴っていきます。

今日は、なかなか手を出せずにいた「ガラス」のうつわについて。

 

リアルな男性にはほとんど一目惚れをしたことがない私ですが、うつわや洋服に至っては、目があった瞬間に急に心臓がバクバクしてしまうというかなり惚れっぽい性質です。

とはいえ、ガラスアイテムに至ってはだいぶ臆病になっていました。

なぜなら、エルメスのグラスを数回に分けて20個近く割ったという悍ましい過去があるから。陶器や磁器はほとんど割った経験がないのに、ガラスに祟られているとしか思えない過去を持っているのです。

そんな中でも勇気を出してここ1、2年で購入したものやいただいたものなど、行方家のガラスアイテムについてご紹介していきます。

 

◇ STUDIO PREPA

 
 

長野県伊那にある吹きガラス工房で、仲の良い友人のお姉様夫婦のブランドです。確かな技術と繊細な感覚で、全ての工程をお二人で行なっています。1つ1つ微妙にニュアンスの異なる作品たちは、シンプルでスタイリッシュながら温かみのあるものばかり、唯一無二の存在感を醸し出しています。

シックなものからカラフルなものまで、うつわからランプシェードやオブジェまで、次はどんな作品に出会えるのかいつも楽しみです。

写真上は、その友人から誕生日プレゼントにいただいたもの。直径7センチほどの小さな、でも厚みと存在感のあるアイテムでとにかく美しい!  食後のお茶の時にチョコレートなどを乗せてお出しするのもいいし、アクセサリーを置いてもいいし、もちろんオブジェとして飾るのもあり。自由に想像を膨らませて楽しむことにします。

写真下は、名古屋出張の際に立ち寄ったお店で見つけたもの。ちょうど納品があったばかりだったので、たくさん揃っていてラッキーでした。STUDIO PREPAの作品はかなり人気なので、展示会初日などに足を運ばない限りなかなか一度に見ることが難しいのです。美しいフォルムに想像力を掻き立てられ、大中小と大きさ違いで購入しました。漆のうつわと組み合わせると、さらにクールな食卓になるのでよく登場させてます。

◇ 小林裕之さん・希さん

 
 

京都でガラスのうつわの制作をされているお二人。こちらもご夫婦でご一緒に制作されています。型吹きのグラスを中心とした薄く繊細なものが多いのですが、どこか懐かしい雰囲気が漂った作品が多いです。お茶やお酒が好きだというお二人の作品は、小さめサイズの日常使いのアイテムが多いです。

前回ご紹介させていただいたmoksaホテルでも、小林さんのグラスがデザートやお茶で使われていました。

写真下は、行方家のメンバー。左のブルーのうつわは、ちょっとしたもの、例えばもずくやしらすなどを盛って食卓で活躍することが多いです。右もグラスは八角形の表面を交互に塗ったニカワ(動物の皮革などから採られる強力な糊のようなもの)が乾燥・収縮することで削り取られて、霜が降ったような表情を作り出しています。

イメージの着想は大正時代から昭和初期にかけてよく使われていた結霜ガラス。霜が降ったような面と手削りによってゆらめきのある面、異なる2つの面を楽しむことができます。普通に冷茶を飲んだりもしますが、ヨーグルトパフェ的なものを作ったり、小さなサラダを入れて前菜にしたりしています。

◇ 境田亜希さん

 

ガラス工芸が盛んな富山での活動を経て、同じくガラス作家の旦那様と秋田市で工房を構えている境田さん。主に吹きガラスの技法で製作されています。型がないので、作品は全て一点ものです。透明なガラスを竿で巻き取り、粉をふりかけて色をつけています。ふりかけ具合により色が変化するんだそう。

先日の個展で購入したのは代表作の「はなかげ」の鉢。光が当たると花のような影が浮かび上がる作品です。小さい作品もとても可愛かったのですが、可愛いからこそ大きなものの方が私には合うのではないかと。

サイトには、「今日、明日、明後日と、繰り返す制作の中で、柔らかで捉えどころのないガラスの繊細な変化を通し、『私自身の心と身体を知る』。そんな感覚を楽しんでいます」とあります。他のなにとも比べず自分自身と向き合い、楽しみながら制作されている、そんな姿勢が作品にも表れていると思います。

 
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