世代交代は考えたことがない。今も必死に先輩の後ろを追いかけているのだから


そんな中で迎えた秋の興行、今回は【世代交代】も大きなテーマのひとつ。新感線初参加となる石田ニコルさんや神尾楓珠さん、初参加にして初舞台となる西垣匠さん、そして準劇団員として数々の新感線作品に出演している早乙女友貴さんなど、華やかな若手の方々が揃います。おふたりは【世代交代】に対してどんなイメージをお持ちなのか、お話いただきました。

 

古田:オイラもゆりちゃん(編集部注:天海さんの愛称)もそんなに【世代交代】って考えているわけじゃないんですよ。上の先輩が邪魔だなとか、下のヤツら上がってこいや! とかそういうのを考えるタイプじゃないから、あまり深く考えてはないけれども、ただ(早乙女)友貴や神尾(楓珠)、ニコちゃんとか西垣(匠)とかに「演劇って何をやってもいいんだよ。何をやってもいいのが演劇なんだよ」というのさえ伝われば、オイラたちが出演する甲斐があるんじゃないかなとは思うけど。怒られたっていいわけだし。 

天海:私も【世代交代】ってあまり考えたことないないです。今まで必死でやってきて、今も上の先輩はすごい方々ばかりで、常にあんなふうになれたらいいなって思いながら背中を追いかけているというか、そんな感じですから。

でも今回脚本の中島かずきさんが世代交代という言葉を使われて初めて、「あ、世代交代しなくちゃいけない年齢なんだ」と改めて思いました。“年齢”そのものではないのかもしれませんが、ちょっとヒュッと現実に戻されたというか……。世代交代を考えないといけない、ということはイコール、多分私はこれが最後の新感線になると思うので、“最後の新感線の天海祐希”を観るためにぜひ奮って劇場に足を運んでいただきたいです(笑)。

だからと言って、若い皆さんに何かを伝えていきたいなんて傲慢なことは微塵も考えてないです。必要なことは必要なタイミングで、彼らが自分で身に付けていくこと。だから、自分から何かを伝えなきゃというのは一切ありません。ただ、一緒にやっていく空気感であるとか古田さんの姿を見て「ここでぶつかってもいいんだ」とか、怒られることは教えてもらっていることでもあるとか、そういうのを経験していかれると思うので、必要なときに聞けるところに自分がいられればいいかなと思います。私たちもそうでしたし、私もいまだに古田さんやもっと先輩の方に色々聞いていますし、手の届くところに聞ける人がいるというのは、ありがたいことですから。


逆に若手の方々から吸収することもたくさんありそうですか?

天海:きっとたくさんあると思います。でも、それはきっと後から分かることでしょうね。

古田:あるんだろうけど、オイラは吸収力がないから(笑)。

天海:若い方々の姿を見て、一生懸命だなとか必死だなぁとか、ひたむきさがいいなぁとか、自分はそういうことを忘れてしまっているかもとか(笑)、そういう反省点もいっぱいあるかもしれないので、そういうのを感じたいですね。新感線の舞台というのは、これからどんどん表舞台に出ていくだろうという方がいっぱい出演されるんですよ。物語全体を背負って、シーンを背負えるような人がたくさん集まる劇団なので、お互いにいい刺激を受けることができると思います。