お客さんに伝える努力を怠らないところが素敵だなって思う
打てば響くというテンポでおふたりのお話はどんどん進んでいきます。古田さんと天海さんがお互いに最上級の信頼感をお持ちなのがヒシヒシと伝わってくるなかで、それぞれが感じる【相手のすごさ】について伺ってみました。
古田:オイラはほとんどお芝居に気持ちを込めたことがないんだけど(笑)、ゆりちゃんは舞台で本番を続けていくうちに感情が変わるんです。それをちゃんとお客さんに伝えようとする力があるし、その努力を怠らない人。オイラは8割の力で最後までいければいいやって思ってるから。
天海:とか言ってますけど、そんなことはないんですよ、本当に(笑)!
古田:そういうところが素敵だなって思う。
天海:古田さんは何だかいろんなことを軽々とやって見せるんですけど、本来、すごく努力の方だと思います。出てきた瞬間にバーンと弾けんばかりのパワーを届けてくれるけど、その陰にはやっぱり“私たちには見せない努力”があって。フラッと来て、フラッとやっているように見せていて、そこがすごいと思う。だって努力しないとあんなことやこんなこと、できるわけがないんですよ。
私が古田さんと同じシーンに出ていて、たとえば演出のいのうえさんに言われたことがよく飲み込めないみたいな状況のときに、「ゆりちゃんはここがこうなっているから、こうなんだよ」って簡単に説明してくれることがよくあって。すると、「なるほど!」と腑に落ちる。すごく冷静に状況を把握する力がある方だと思うんですが、でもそれはやっぱり経験を積まないとできないことなんですよね。ご自身のことも俯瞰で観ることができているし……。それはやっぱりすごいなって思います。新感線だけでなく、外部のカンパニーに行かれても同じ役割ですもんね。
古田:便利だよ、オイラは(笑)。どこの現場でもそうだけど、そうしたほうが早く帰れるんだもん。
取材は、ちょうど初めての本読みがあった翌日。初演の『薔薇とサムライ~GoemonRock OverDrive』のときの思い出話にも花が咲きました。
天海:話していたら思い出してきました。私、ひとつすごく印象的だったことがあって。前回出演されていた橋本じゅんさんの話なんですけど……。じゅんちゃんは海賊バルバ・ネグロという役で出ていらしたんですが、大阪公演で具合悪くなっちゃって、もしかしたら他の方にうつすかもしれないからとひとりだけ別の楽屋に隔離されちゃって。結局大丈夫だったんですが、次に会ったのが休演日明けの公演。「今日舞台の上で会えるかな♡」なんて思いながら舞台に出て、「バルバ!」ってじゅんちゃんの役名を呼んでひょいと顔を見たら、じゅんちゃんがちりめんじゃこみたいな眼をして私を見つめていて(爆)。
胃腸が大変だったみたいだから、食事が摂れてなくてすっごい痩せちゃって、顔も青白くて、もうそれでゆら~と舞台の上で揺れてるんです(笑)。具合が悪かったから楽屋では会えないまま、それでも「今日は出られるんだね、元気になって良かった!」と思って「バルバ!」って呼んで目があったらそんな状態(笑)。とにかくじゅんちゃんの目がちりめんじゃこになってるのを凝視できずに、しかももう半分笑い出しそうだったから思わず目をそらしましたよ。
古田:ただでさえ目が小さいからな(笑)。
天海:そういう小さいこと、いっぱい覚えてるね。
古田:そういえば、高校生とか大学のサークルがこの五右衛門ロックシリーズを上演しているって聞いたことがある。単純にカッコいいし、歌って踊って楽しい! みたいな感じで。それはそれでいいんじゃないかなと思うけど、五右衛門とアンヌ、誰がやってるんだろうね。
天海:心当たりのある方は、ぜひご一報ください(笑)。観に行きたい。笑いに行きたい!
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