親を自宅で介護するのか、施設と契約して介護全般をお願いするのか、これは介護が始まると誰しも直面する問題かもしれません。今回相談に訪れた真知子さんも、近くに住む母親の今後について悩んでいました。一般的に、介護施設に入居するきっかけは、「入院を機に体が不自由になって自宅で暮らすのが難しくなった」「介護度が上がった」「認知症の進行」など、さまざまです。今回は、ご両親の介護を経て、現在は介護相談員も行う渋澤和世さんに、経験者の立場から在宅介護と施設介護について語っていただきます。

 


認知症の母、終の棲家は!?


82歳になる母は、5年ほど前から認知症の傾向が見られるようになり、最近は家に1人にしておくのが心配になるような出来事も増えてきました。父は数年前に他界したので母はしばらく1人で暮らしていましたが、認知症の症状は進む一方です。

幸い私と兄が同じ県内に住んでいるので、これまではたまに様子を見に行く程度で何とかやってきました。ですがそろそろ、介護という括りで考えなければいけない段階に来ているように思います。

私が母を引き取って同居すべきか、施設にお願いすべきか。

娘たちは大学に入ったので今はそれほど手はかかりませんが、私にはフルタイムの仕事があります。今はリモートワークが中心でオフィスへの出勤は週に2回程度ですが、それでも在宅介護となると覚悟が必要だろうと身構えてしまいます。

母はよく「子どもたちに世話をかけたくない」と言っていたので、介護付き有料老人ホームも検討していますが、調べれば調べるほど何がベストなのか分からなくなってきてしまいました。もちろん母と相談の上で決めますが、その前に経験者の立場から、在宅介護と施設介護の実情を教えていただけますか?