国民年金頼みの親。公的老人ホームを選ぶなら、知っておきたい「地域密着型特養」_img0
 

一般的に「老人ホーム」と呼ばれるものには、主な設置主体が地方自治体や社会福祉法人、医療法人となる「公的施設」と、民間企業が運営する「民間施設」の2つのタイプがあります。公的施設は費用がリーズナブルである代わりに入居待機者が多く、民間施設は費用が高いものの入居はしやすく、設備も充実しているというのはよく知られた話です。今回相談に訪れた麻子さんも、母親の足が不自由になったことを機に施設への入居を考えるようになりましたが、理想の暮らしと費用のはざまで揺れ動いていました。そんな時、知人からある老人ホームへの入所を勧められたのだとか。少し話を聞いてみましょう。

 


老人ホームは公的施設と民間施設の2タイプ


私の両親は住み慣れた広島の地で長年鉄工所を営んでいましたが、年齢のこともあって10年ほど前に廃業し、今は貯蓄と年金で暮らしています。父は数年前に前立腺がんを患ったものの、幸い回復して今はすっかり元気になりました。

ただ、もともと丈夫だった母の方が日常生活の中で転倒することが増え、先日受けた大腿骨頸部骨折の手術を機に、要介護3の車いす生活になってしまったんです。本当は自宅で暮らし続けるのが理想でしたが、車いすの母を父が1人で介護するには限界もあり、施設への入居を検討することになりました。

要介護3というと介護度も高い方なので、地方自治体や社会福祉法人、医療法人などが運営する特養(特別養護老人ホーム)にも入居できます。ですが近くの特養は何となく古めかしくて、私が躊躇してしまいました。民間企業がやっている介護付有料老人ホームも実家の近くにはたくさんありますが、特養が月々10万円の支払いで済むのに対して民間の有料老人ホームは20万円。どうしても費用が高く、自営業で国民年金の両親には負担になってしまいます。

そんな時、ケアマネージャーをしている夫の友人から、「麻子さんの実家の近くには小規模な地域密着型特別養護老人ホームがあったはず。そこを検討してみたら?」とアドバイスをもらいました。特養って1種類だと思っていたのに、普通の特養とどう違うのでしょうか。

 
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