恋愛は必要ではない。でも、子どもは産みたい。


「彼氏とか結婚とか、わざわざ男の人を必要としなくていいんだ、と開き直れるようになったのは、新卒から務めていた会社を辞めて独立した頃です」

千尋さんは都内の有名私立大学を卒業後、大手企業に就職。けれど薄々、「会社員に向いてないかもしれない、会社員では満足できない」と思うことが多かったそう。30歳になる前に独立しPR業を始めてから、仕事がとても楽しくなりました。

もともと働き者でしたが、独立後は仕事の成果がそのまま自分の収入に反映されるため、経済的にも余裕が出るようになったと言います。

「OLを辞めてから周囲の環境がガラッと変わり、付き合う友人も自然と自営業やフリーランスの人が多くなりました。すると、そういう人たちって仕事のスタイルも比較的自由ですが、ライフスタイルや思考も自由なんですよね。アラサーで結婚しなきゃとか、独り身は恥ずかしいとか、そういった固定観念に縛られることがあまりなくて。

自由で自立した女友達が増えるうち、プライベートもすごく充実しました。女同士でおいしいものを食べて贅沢な旅行をする、好きな仕事を頑張る。それがとにかく楽しかったし、心が満たされたんです。

過去に恋愛ではそんな風に満たされたことはなかったので、私にとって恋愛は必須じゃなかったんだと、この頃ようやく自分を受け入れられるようになりました」

環境が変われば人は変わるとよく聞きますが、千尋さんは会社員を辞めたことで世間一般的な風潮や流れと少し距離を置くことができ、ご自身にとって心地よいスタイルを選択できるようになったのかもしれません。

恋愛や結婚という手段で異性のパートナーを求めるのがマジョリティの世の中ではありますが、必ずしも誰もがそうではない。改めて考えれば、当然のことだと千尋さんの話を聞いていると実感します。

けれど一方で、「子どもを産む」ことは昔から強く希望していたという千尋さん。未婚で産みたいという意思を固めたのは、健康診断がきっかけでした。

「女に生まれたからには、私はいつか絶対に子どもを産みたいと思っていました。でも、会社員を辞めてから久しぶりに受けた健康診断で婦人科の検診に引っかかり、自然妊娠が望めない身体だと判明したんです」

「私にとってセックスは、愛を育む行為じゃなかった」自らシングルマザーとなった女性の、衝撃の告白 _img0
 

千尋さんは酷くショックを受けつつも、この事実を知ったとき、「産みたい」という気持ちがさらに明確化したそう。

どちらにしろ自然妊娠が難しいなら、最初から協力者を探して体外受精をすればいいのではないか? と考え始めます。

 

当時、千尋さんの友人にバツイチの女性やシングルマザーも多く、「子どもが欲しい=結婚をしなければならない」とはならなかったのだそうです。

9月8日公開予定の記事の後半では、そんな千尋さんの前に現れた協力者(パートナー)の男性との子どもを産むことになった経緯、不妊治療の体験についてお話いただきます。


取材・文・構成/山本理沙

 

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