14「娘の父親と、男女関係になったことは一度もない」不妊治療でシングルマザーが掴んだ幸せ

「あなたの結婚生活は、幸せですか？」

この質問にまったく躊躇いなく「はい」と答えられる夫婦はどれだけいるでしょう。
おそらく多くの方が即答はできず、言葉を濁したり、あるいは驚くべき夫婦事情を口にすることもあります。

「婚姻制度」が定められたのは、実は120年以上前の明治時代。社会も価値観も変化していく中、多くの夫婦が様々な問題を抱えているのが現実です。

この連載では、現代の男女が抱える問題について取材。結婚について疑問を持ったとき、人はどのような選択をするのでしょうか？

今回お話を伺うのは、自らシングルマザーを選択し、最近女の子を出産されたばかりの千尋さん（35歳）。

千尋さんは「私にとって結婚は必要ない」と判断し、パートナーの男性と細かく体裁を整えた上で体外受精で妊娠されました。前編では「私にとってセックスは愛を育む行為ではなかった」と衝撃の告白をされましたが、後半ではパートナーの男性との出会い、また人生で一番辛かったという不妊治療について伺いました。

「３つの家庭を養う男性」との出会い 

ーー結婚はせずに、子どもを産みたい。

そんな意思が芽生え、それが自分にとってベストなスタイルだと考えたものの、当初は本気で実現できるとはあまり考えていなかったという千尋さん。

というのも、妊娠には当然ながらパートナーが必要で、千尋さんの考えに共感し、協力してくれる男性を見つけるのは難しいと思っていたからです。

「パートナーのKさんとは、もともと仕事で知り合いました。彼はかなり成功されている実業家で、私の仕事にも業界的に詳しい人でした。知人の紹介で、コンサルティング的なことをお願いしていたんです」

当初、このKさんと千尋さんは完全に仕事のみの関係。年齢も20歳以上年上なこともあり、男女関係の気配などは全くないまま、1年以上ほど業務委託で仕事をしていたそうです。

「すでにお話しした通り、私はもともと恋愛欲があまりないこともあり、男性への警戒心が強い……というか、心を開くのが苦手です。仕事にプライベートを持ち込むのも本来は好きではありません。でもKさんは仕事を続ける中で少しずつ信頼関係ができ、何より仕事の大先輩として尊敬していました。

食事すらしたことはありませんでしたが、あるときミーティング終わりにたまたまランチを一緒にすることになり、初めて仕事以外の話をしたんです」

そこで初めて知ったのは、Kさんがバツイチで、かつ、それ以外に2つ家庭を養っているという事実でした。