誰もが抱えるささやかな「嘘」にまつわる、オムニバス・ストーリー。
鬼姑?それとも普通?割れるアラフィフの意見
「えええ!? それで『子どもができたからってドサクサに結婚するな』って言ったの? 早穂子、鬼姑だわね……」
アラフィフともなれば、いくら親友だからと言ってそう頻繁に集まれるものではない。しかし今日ばかりは一刻の猶予もなく、早穂子は容子と亜希に連絡をした。
話を聞いて欲しくて集合したものの、二人は早穂子の行動に批判的。美容外科医の容子は独身、亜希はバツイチ子なしなので、アラフィフとはいえ、姑の視点というよりも嫁の視点の方が共感できるようだった。
「だって、他に本当のことを言える人はいないのよ。真凜さんのご両親はアテにならないし、陽一さんも『マリンちゃーん』なんてでれっとしちゃって全然だめ。ここは嫌な役割だけども、私が言うしかないのよ!」
「でもなあ、それで早穂子のいう通りに二人が別れたとして、誰も幸せになれなくない? 第一、マリンちゃんの赤ちゃんはどうするの」
容子がズバッと痛いところを突いてきた。
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