リアルさが際立つ同僚、腹黒策士クォン・ミヌの漏らす不満


さて、そんな中で私はあえて、そこまで存在感を発揮していないもう一人の同僚(男性)、クォン・ミヌについて取り上げたいと思っております。なぜなら他の登場人物たちがいい人ばかりでややファンタジーであるのに対して、彼だけは恐ろしくリアルな存在だったから……。

クォン・ミヌを演じたチュ・ジョンヒョクの公式インスタグラムより。

ミヌは、ウ・ヨンウと同じ訴訟チームで働く新人弁護士です。彼と同期入社のチェ・スヨンが、ウ・ヨンウ言うところの“春の日差し”というほど心優しいのに対して、彼は“腹黒策士”というあだ名を持つように、偉い人に媚びてのし上がっていこうとするタイプ。現実にもこういう人、ごまんといますよね……。

 

ただこのミヌさん、どこかヌケていて憎めないキャラクターとして描かれているのが救い。それゆえ見ていてそこまで不快にならないのですが、だからこそ落とし穴があるとも思ったのです。というのも、悪い人ではないゆえミヌが漏らす不満にも一理あるような気がしてしまうから……。

ウ・ヨンウは、優しい上司と同僚のスヨン、そしてウ・ヨンウに恋心を抱くチームメンバー・ジュノ(超絶イケメン)たちに何かとフォローされ、その天才性を如何なく発揮していきます。そして、そんなウ・ヨンウの能力を手放しで評価する周囲。ミヌは、これが気に食わない。そこでこんな論理をぶつけてくるのです。「ウ・ヨンウは特別扱いされている」と。

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物語の中盤で、それを象徴するシーンがあります。ミヌはスヨンに「ウ・ヨンウはコネ入社だ」と告げるのですが、「だったら何?」と相手にされません。そこで彼はスヨンに対してこう言い放つのです。「彼女に負けても反撃できない。常に配慮して手を貸してあげるべき存在だから」と。そして「彼女は弱者なんかじゃない、強者だ」という強烈なひと言に、スヨンは返す言葉が見つからず黙ってしまうのです。