それから20年以上、ヘア&メイクアップアーティストとして第一線をかけぬけてきた赤松さん。宮森さんとの交際は誰にも公表していませんでしたが、逝去される直前に結婚をし、ESPERの社長業を引き継ぐことになりました。
約10年前の宮森さんのお葬式の日に、現在の赤松さんの土台となっている出来事が起こりました。

雑誌『オリーブ』で活躍。女性ヘアメイクがほぼいない時代に、25歳で独立!【赤松絵利さんの「仕事前向き論」】_img0
宮森さんの遺影と遺骨が赤松さんを見守っています。

「宮森さんのお葬式に、シス・カンパニー代表の北村明子さんが来てくださったんです。北村さんは舞台をたくさん制作されているプロデューサーで、ヘアメイクプランナーとして初めて宮森さんを舞台に呼んだ方。
ご挨拶のとき、『私もいずれ北村さんの舞台に呼んでいただけるように頑張って仕事します』と伝えたら、次の日に電話がかかってきて、『今度こういう舞台をやるんだけど、それあんたに頼むわ』って言っていただけて。
でも、宮森さんが亡くなったばかりで右も左もわからないし、サロンの新しい体制も整っていない時期。『本当に嬉しいのですが、まだ早いと思います』って言ったら、『あんたなあ、いつかやりたいことなら、今やらないでどうするの?』って。
『とりあえず無我夢中でやれ』って背中を押してもらえて、初めて舞台『グッドバイ』(2013年)でヘアメイクプランナーをやったんです」

 

北村さんからのチャンスをきっかけに、近年ではNHK『にほんごであそぼ』、NODA・MAP『フェイクスピア』『THE BEE』『フィガロの結婚』、『星の王子さま』、『近松心中物語』、『東京キャラバン2019』『東京2020NIPPONフェスティバル“わっさい”』など、ヘアメイクプランナーとしてたくさんの舞台や作品を手がけるようになります。

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「つくづく自分は、カルチャー系なんだと思います。流行を追うよりも、残っていく文化芸術が好き。
それに、舞台ではヘアメイクで“虚像にリアリティを持たせる”ことができるのが、何より面白いんです。嘘事を本当に見せる仕事なんですよね」

たくさんのかっこいい大人たちに導かれ、いくつもの貴重な出会いを大切にしてきた赤松さん。
しかしそれは、ひとつひとつの仕事に誠実に向き合ってきたからこそ。これからも、真摯に楽しく「赤松さんにしかできないこと」を追求していくのでしょう。
 


取材・文/上田智子
撮影/木寺紀雄
構成/片岡千晶(編集部)
 

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