作家・ライターとして、多くの20代~40代の男女に「現代の男女が抱える問題」について取材をしてきた佐野倫子。その赤裸々な声は、まさに「事実は小説より奇なり」。社会も価値観も変化していく現代の夫婦問題を浮き彫りにします。

今回レポートするのは、13年の結婚生活ののちに3人の子どもを連れて離婚、養育費が「3人で5000円」にまで値切られてしまったというシングルマザーの亜弥さん(42歳)。現代の婚姻制度と子連れ離婚がはらむ問題点を、徹底分析します。

養育費は3人で1ヵ月5000円。「塾に通わせたい」と相談したシングル母に、夫が放った衝撃のセリフ_img0
 

前編では、「早く結婚して子どもが欲しい」という気持ちで、適齢期に出会った会社員の彼と結婚、予想外の「夫の豹変」について伺いました。今回は離婚を視野にパートを始めた亜弥さんの「トラブルだらけの離婚奮闘記」と、「養育費3人で月額5000円」騒動の顛末をお話いただきます。

取材者プロフィール亜弥さん(仮名)42歳、札幌在住
職業:介護福祉士
家族構成:15歳・13歳・11歳の子どもと4人暮らし。会社員の元夫(42歳)は東京在住。
  
 


専業主婦からパートスタート。意外な展開が待っていた


「週3日、1日5時間から始めた高級介護ホームのパートでは、受付と事務を担当していました。半年ほど仕事をしていると、訪問したご家族から『あなたが明るく相談に乗ってくれるから、以前よりホームに足が向くようになった』『こんなに親身になってくれる人はいなかった』などの嬉しいお声がけをいただくことが多くなりました。

もともと人懐こいタイプでお喋り好き。もっと入居者やそのご家族のために働きたかったけれど、受付という仕事ではできることが限られていて。それならば、資格を取って直接ケアができるスタッフになりたいと考えました」

いつか、離婚するかもしれない、と考えていた亜弥さんにとって、生計を立てる手段を確保することは急務でもありました。

「離婚するとして、子どもはまだ小学校か保育園。正直に言ってお金の問題がすべてです。短大卒、大したキャリアもない。途方に暮れました。だからまずは、仕事で少しでもできることを増やしていこう。そう考えました」

そんな亜弥さんに手を差し伸べたのは、意外な人々でした。