スタイリスト福田麻琴さんが、身の回りの”愛するモノ”について語ります。

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年を重ねることで嬉しいことはいくつかあるのですが、その一つはドリスの柄が似合うようになってきたこと。
確実に10年前より似合っている……はず。
ということは、10年後、もっと似合うはず。
「10年後、もっと似合う!」
私のお買い物の心得をすんなりクリアです。

 

初めてのドリス ヴァン ノッテンはシャツだったか、ブーツだったか。
とにかく“柄“はいつ見ても、まだ自分には早い、そう思っていたんです。
ドリスの柄は色彩も鮮やかだし、抽象的なものが多く、着なれていた小花柄とあまりにも雰囲気が違っていたので恐れおののいていました。

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何となく私の中で柄ってフェミニンなイメージがあったし、そういうコーディネートを楽しみたいときに取り入れてきたので、この甘さゼロ、いやもはや辛ささえ感じるドリスの柄が似合うようになったということは一人前の大人になったということでしょう(笑)。
そしてその時はそれはそれは自然にやってきました。
意を決してお店の門を叩いたわけでもなく、誕生日に駆け込んだわけでもなく、メインのものを試着している途中うっかり着てみたら、あれ? いいかも。
そんな感じ。
名品とはドラマティックな出会い方をするものもあれば、こんな風に当たり前のようにそばにあるものもあるんです。
そしてこのスカート、あまりにもしっくりき過ぎて色違いで持っています。
限りあるクローゼットに同じものってどうなのよ?!
そういうことなかれ。
少なからずともスタイリストの皆さんのクローゼットにはあるでしょう、色違いが。
なんなら同じデザインの同じ色、同じサイズが。
気に入ったら絶対に着る! と、わかっているので、それは無駄な買い物ではないんです。
たまに遊びにくる母から見たら、そりゃ同じものに見えてたまに叱られたりもしますがね(笑)。

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ドリスの柄にハマってから、毎シーズンどこかのお店で今季の柄はチェックしています。
そんな時いつも気になるのは、それはそれは素敵なマダムがお買い物をしているということ。
時には文化人みたいな知的なマダム(きっと作家さんなはず! 私の勝手な憶測ですが)、時には白髪の貫禄のあるマダム(あれはどこかの社長です、きっと)。
素敵な服に出会いたくてドリス ヴァン ノッテンに行くのですが、素敵な人にまで会えるという……。
フィジカルだけでなく、メンタルも満たされるなんて!(笑)
それがドリス ヴァン ノッテンだと思うんです。
私もあんなマダムになれるかなぁ。
ドリスの柄を着ると、ますます歳を重ねるのが楽しみになります!

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写真・文/福田麻琴
 


前回記事「「カルティエ」のミニパンテールは未来の自分へのお買い物」はこちら>>

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