体幹をしなやかにする、おうちで簡単「軸トレ」
――指導されている新体操の選手の皆さんは、この軸を意識することでずいぶん動きが変わるそうですね。一般の方への指導で、興味深い変化や発見はありましたか?
山﨑 そういえば、和装って内股で歩きますよね? それで股関節が痛くて仕方がないという女性がいました。タイプチェックをしてみると、私と同じA2タイプ。ここではAタイプ、Bタイプの違いしかお話ししていませんが、とにかく私と同じタイプであれば、太ももは外旋するほうがいい。ですから内股で歩くこと自体に無理があったんですね。「つま先は内に向けても太ももは外旋してみてください」と伝えて歩く練習をしていただくと、「股関節の痛みが減った。股関節がちゃんとはまった感じがする」という感想をいただきました。タイプに合わない歩き方では故障を誘発することにもなりかねないんですね。タイプごとの詳しい歩き方は本を読んでいただくしかないんですが(笑)。
――自宅で簡単にできる軸トレーニングはありますか?
山﨑 自宅でやるなら「お尻歩き」が一番簡単です。体を楽に動かすための軸トレで、床に座った姿勢で、前に10歩、後ろに10歩、お尻を使って移動するだけ。少し大きめに移動をすると軸に乗れた感じがすると思います。また上半身を固めず、リラックスすることがここでも重要です。こうした軸トレを続けると、体幹がしなやかになり、日常の動作も動きがスムーズになっていくはずですよ。
軸トレ:お尻歩き
年齢を重ねても「体と心の可動域」は広げられる
――これならテレビを見ながらでも簡単ですね。ちなみに山﨑さんは普段運動をほとんどしないとおっしゃっていましたが、若さを保つ秘訣はあるのでしょうか?
山﨑 じつはですね……ここ数年“推し活”にハマっているんです。Kis-My-Ft2の大ファンで、普段の脳内は「軸か、キスマイか」くらい生活の大半を占めていますね(笑)。何か落ち込むことがあっても、カラオケでキスマイの歌を3曲くらい歌えば嫌な気持ちも浄化されます。ライブがあれば各地に遠征に出かけて、そこで美味しいものを食べたりね。推しができて、明らかに行動範囲も広がりましたよね。
――すごく充実されてますね! ちなみにどなたのファンなんですか?
山﨑 私は箱推しです(笑)。Twitterもやっているんですが、完全にキスマイのファンアカウントですね。還暦を超えても、「アイドルを好きになるなんて恥ずかしい」とか、「体が動かなくて当然」とか、そんなふうに思ったことは一度もないですね。体と心の可動域は、いくつからでも自分で広げられるものですから。みなさんも推しを前に、いつまでも元気にペンライトを振れるよう、
毎日軸を意識して過ごしていただけたら嬉しいです。
『筋トレより軸トレ!運動のトリセツ』
著者:山﨑浩子 監修:廣戸聡一 1870円(税込)
キレのある動きをしたいのに素早く動けない、速く走りたいのに足が前に出ないなど、思い通りに自分の体が動かないのはなぜか? 新体操日本代表(フェアリージャパンPOLA)の監督を17年間務めた著者がたどり着いたのは、「軸を意識する」だけで日常の動作がスムーズになる「4スタンス理論」。言っていることがうまく伝わらない、選手たちがなかなか上達しないと悩むスポーツ指導者の方はもちろん、頑張らなくても「疲れづらい、故障しづらい、若見えするからだ」を作りたいと願う人におすすめの一冊。フィットネスともダイエットとも異なる、「軸トレ」というアプローチが新鮮な、プロ指導者による“運動のトリセツ”!
撮影/洞澤佐智子
イラスト/二階堂ちはる
構成/金澤英恵
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