10歳年下の男性と結婚した早苗さん(39歳・仮名)は、入籍後に夫の預金残高が2万円しかないことが発覚。突然の100万円を貸すことになったり、また男友達とのLINE履歴を10年分チェックするなど、異様な束縛癖にも悩まされ、入籍からわずか1ヵ月で離婚を提案することに。しかしながら、その後夫婦の形勢はなぜか逆転……?

前編記事に続き、作家・ライターの山本理沙が泥沼離婚をレポートします。

 
取材者プロフィール早苗さん(仮名)39歳
職業:会社役員
家族構成:独身(離婚歴あり)

  
 


夫の様子がおかしい……


入籍後に徐々に豹変した元ご主人。突然の借金の不安や束縛癖に悩まされた早苗さんは、入籍から1ヵ月後に「離婚したい」と告げてしまいます。

「当時は精神的にかなり疲れていました。特に束縛が酷く、毎日彼を怒らせないかヒヤヒヤしていて……仕事中や友人と会っていてもテレビ電話で対応したり、生活が成り立たなくなるほどだったんです」

しかし当然ながら、元ご主人は「別れたくない」と反発。早苗さんにすがるような態度を見せたそうです。

「『悪いところは直す、紙に書いて忘れないようにしたから変化を見てから判断してほしい』と、彼は泣いて謝っていました。色々と疲れてはいましたが、彼を嫌いになったわけではないので、いったんは仲直りをしたのですが……」

一度現れた人の本性は、そう簡単に隠せるものではありません。反省した姿を見せたものの、やはり元ご主人は神経質に早苗さんを監視し、ちょっとしたことで嫉妬、束縛する言動や行動を繰り返し、妻に依存する態度はエスカレート。

結局、早苗さんはマンスリーマンションを借り、一時避難のような形で別居に踏み切りました。

「距離を置いたときはホッとしました。彼も再び反省したようで、少し大人しくなって。やっと仕事にも集中できたところで、コロナ禍では久しぶりの1週間ほどの国内出張の予定が入りました。すると彼が『寂しいから出張前だけ少し会いたい』と言うので応じたところ……明らかに様子が変だったんです」

早苗さんの部屋にやってきて数週間ぶりにあったご主人は、目が虚ろで、しきりに咳をしていたそう。

「え? 具合が悪いの? いつから? と聞いたら、昨晩から体調を崩して微熱もあるから今日は看病してほしいと言われて……」

危ない、と思った時はすでに遅し。

翌日、彼はコロナ陽性と診断されました。