はじめて取り組んだ、本格的な一人分のレシピ


――今号からスタートした連載「自分のために、ひとりごはん。」では、栗原さんが一人暮らしになって本当に食べているものを紹介しています。一人分のレシピに本格的に取り組むのははじめてなんですよね?今まで家族のため、おもてなし向け、といった料理が多かったので新鮮です。

そう、ひとりごはん。自分のためにも頑張ってみようかな、と思っています。

――2号目には、栗原さんの“華やかさ”と“切なさ”がぎゅっと詰まっている、との感想もありました。「自分のために、ひとりごはん。」は、切ない部分?


切ないことをあまり書いてもいけないのかな、と思うけれど、でもきれいごとばかり言っても伝わらないかな、とも思っています。インスタグラムにもコメントをいただきますが、同じような境遇の方もきっといらっしゃるから、励みになればいいなという気持ちです。

夫が亡くなって、3年が経ちました。夫とごはんを食べていた場所では、まだ一度も食事をしたことがありません。でもそれはもうやめたいな、と思っているんです。
当初は泣いてばかりで、寂しい道しかなかった。けれど今は、寂しい道と、元気になりたい道、2つがあるんです。その2つの道は重なっていたのですが、少しずつ橋ができてきました。

今は泣く前に、寂しい道に渡らないようにしないと、と思っています。そのためにも、私が食事をするのにちょうどいい大きさのテーブルを探しに行こうかな、と計画中なんです。皆さんのおかげで、少しずつ元気になってきています。

でもね、料理をしたからって急に元気にはならないんですよ。自分が食べたいものを真剣に考えて、料理を作ることによって、元気を出したいです。

 

――会員サービスの「はるみノート」や、インスタグラムを使って「一緒にひとりごはんを作ろう!」ということができたらいいですよね。自分のためだけにごはんを作るって、本当に難しいから。投稿したりすることで、「ひとりじゃないですよ」、と伝えたいです。
ひとりごはんの栄養バランスで大事にされていることはありますか?

結局、バランスじゃないかな。野菜も肉も、まんべんなく。ひとり暮らしのご飯は難しいですね。冷凍することも多くなるので、前よりも丁寧にラップで包んでいます。ふわっとラップするんです。解凍するときも、電子レンジで2回に分けて解凍しています。
ひとりごはんは、冷凍ものが増えるのが切ないですね。食べきれないから。

そんな中でも、いつもチキンスープは作って、冷凍しています。味噌汁、スープ、煮物にしても、スープがおいしかったらいいのかな、と思うので、なるべくインスタントを使わないように気をつけています。

――雑誌に込めた思いを教えてもらえますか? デザインの面だと、「ひとりごはん」の企画は、栗原さんの手書きの文字を入れて、読者の方に温度感が伝わるようにしました。写真を選ぶときも、栗原さんの生活が読者の方に見えるようにと、心がけています。

雑誌ってどうしても、いい面を切り取って出したいものだけど……。でもこの雑誌では、自分の切ない部分や、弱いところもちゃんと出していこう、と思っています。

人生って、毎日楽しいことばかりではないでしょう。その中で、どんな小さなことでもいいから楽しいことを見つけて過ごしたい、と思っています。

雑誌をきっかけに、ぜひ皆さんにも、それぞれの「好きなこと」を見つけてほしいです。小さなことでもいいんです。