ライターや編集者といった「書く」職業でなくても、SNSやブログ、日々のメールなど、「書くこと」「自分を表現すること」に関心がある人は多いのではないでしょうか?
自分の好きなことや出来事を共有したり、想いを吐き出したり……。「書く」楽しさもある一方で、言語化するのは、生みの苦しみがあったり、さらけ出すのがちょっと怖かったりもします。
月1回開催の〔ミモレ編集室〕実践講座の8月、9月のテーマは『書くとは体験を共有すること』。2ヵ月連続で文筆・編集者の青山ゆみこさんに登場いただき、グループセッションも交えながら、「書く」ことについて掘り下げて考える体験になりました。
読んだ人が「なにか」したくなる文章
2ヵ月連続ということで、打ち解けた雰囲気で始まった「後編」。「前編」での学びを踏まえ、「後編」ではまず、「書く」ときのモヤモヤについての話から。
いざ書いてみるとき、誰かに共感してもらえるのか、伝わる内容になっているのか、などモヤモヤ。独りよがりや長すぎるなど、こういうモヤモヤ、感じる人は多いのではないでしょうか?
冒頭印象に残ったのは、「いい文章というのがもしあるとしたら、読んだ人が『なにか』したくなる、『なにか』をさせる文章」という青山さんの言葉。それは、書いてある内容をそのままを行動に起こす、ということでなくてもよいそうで、受け手側に「なにか」が伝わって、ポジティブな行動を起こしたくなる、ということ。
自分の経験としても、心が動く文章を読んだとき、内容と直接関わらないところで刺激を受けて、ふと背中を押されることがあります。例えば、挑戦したかったことに一歩を踏み出したり、あの人にこんなことを伝えようと思いついたり……。「なにか」が届いたからこそ、「なにかしたくなる」につながったということ。これは、私自身の「なんのために書くのだろう」にも関わる部分だな、と気づかされました。
グループセッションで「読み手」を意識する
伝わる文章にするために、「書き手」の視点だけでない、客観的な「読み手」の視点をもつことが重要というお話を受けて、3人ずつにわかれてのグループセッションへ。ポイントとして、ほかの人の意識が入ると、自分の読み方がどう変わるのか意識してほしい、と説明がありました。
事前課題「わたしが大切にしている時間」について、「朝のお気に入りのルーティーン」「欠かさずやっている散歩のこと」「留学している子どもからの電話を待つ時間」など、書き手の人柄が伝わるエピソードがたくさん。私は耳だけで参加させてもらいましたが、直接会ったことがない方なのに、共感したり、親近感を抱いたり、心が揺さぶられたり。さらにちょっと泣けてきてしまって、なぜだろうと思ったら、「自分を表現するって尊いな」「かっこいいな」と感動している自分に気がついてびっくり。包容力のある、あたたかな時間が流れていたのがとても印象的でした。
すべては伝わらないという「あきらめ」と、
でも「なにか」は伝わるという「確信」をもって
グループセッションを終え、文章を通して「やり取りされる」ものは「なにか」というお話に。
「書いたことが全部伝わるわけではない。読み手に届くときはポイントで伝わって、さらにその奥にある想いまで想像で伝わることもある」
「自分ではない人が受け取ることで、結果として、書かれている物語と違う物語が読み手の側で湧き上がっていく」
書いたことはそのまま伝わらない、というポジティブな「あきらめ」と、一方で、「なにか」は伝わるし、想像を超えるかたちで届くという「確信」をもって書く。そうすると「文章が強くなる」。ここに迷いがあると、冒頭のモヤモヤで出てきたような文章になってしまうそう。これから文章を書く上での指針となりそうです。
今回の講座で、「書く」のその先に視点が移り、伝わっていく相手に意識が向いて、視界がひらく感覚を味わうことができました。質疑応答の時間までたくさんお話を伺えて、改めて青山さんの言葉を反芻したいなと思います。
この月1回開催の〔ミモレ編集室〕実践講座は、リアルタイムで参加できなくても、アーカイブ動画や資料を確認でき、これまでの過去の講座も全て見ることができます。どれも各分野のプロからの実践的な学びがたくさんある内容で本当にオススメ! さらにコミュニティとしても魅力たっぷりなので、興味のある方はぜひ〔ミモレ編集室〕を覗いてみてくださいね。
Macoさん
ダンス大好きな8歳女子とおしゃべりの止まらない5歳女子、夫と4人暮らし。
好きなことは、旅、花、水あそび、着物、子どもと遊ぶプランづくり。
最近は親子ワーケーションが気になります。会社員を卒業し、
フリーランスとして開業準備中。