親が突然進行の早いがんになり、これ以上治療は難しいと言われてしまったら、子世代は「同居して面倒を見るべきかも」といったことが頭をよぎるのではないでしょうか。末期がんでは、「もう治療ができない」という時期が必ず来ます。それは、病院か在宅か、最終的な選択をしていく時期でもあるのです。今回の相談者・沙織さんも、肺がんの父親がこれから暮らす場所について頭を悩ませていました。話を聞いてみましょう。

 


進行の早いがんに侵された父、これからどこで暮らせば……?


先日、広島でひとりで暮らす父親に小細胞肺がんが見つかりました。小細胞肺がんは、肺がんの中で最も進行が早いそうで、気づいた時にはかなり進んでおり、手術を受けるのは難しいとのこと。ショックで言葉も出ませんでした。そこで医師から告げられた提案は、放射線や抗がん剤などの一般的ながん治療を行うよりも、痛みや怠さなどの辛い症状を和らげる緩和ケア病棟への入院でした。

治療ができないのは心底悔やまれますが、それでも緩和ケア病棟で診ていただけるのであれば……と安堵したのも束の間。緩和ケア病棟は、一般的には1ヶ月程度の入院後、病状が安定していたら自宅での緩和ケアに移行するのがほとんどとのこと。

父は自宅に戻ることを望んでいましたが、実家は広島、私たち兄妹は東京で仕事があるため、付きっきりで面倒を見られる家族はいません。先生が提案してくださった緩和ケア病棟も、そもそも患者本人が希望していない場合は入院できないようで、自宅に戻りたがっている父を説得する必要がありました。ただ、心配していた緩和ケア病棟の入院費用は、月額57600円で済むようです(※高額医療費負担限度額までの負担となり、支払い額が減額されるため。金額は年収370万円以下の一般高齢者の場合で、食事代は別途必要)。

そんなこんなで病院かほかの施設を探すか悩んでいたところ、民間が運営する「ホスピス住宅」なるものをネットで見つけました。金額もそこまで高くないため、父を東京に呼び寄せて、近くのホスピス住宅に入居してもらうのもアリかもと思い始めています。ホスピス住宅は、よくある有料老人ホームとはサービス内容も異なるようですが、詳しく教えていただけますか?

 
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