40~50代女性は、実像に自己認識が追いついていない!?


──今の40~50代女性と、坂東さんが40~50代だった頃の同世代女性とで違う部分はありますか?

私がそのくらいの年齢のときは、女性は「若くなければ価値がない」とされていました。なぜかというと、社会で大きな力を持っていた人の大半が男性で、彼らが若い女性を好きだったから。それもあって、女性は若ければ若いほど支持を得やすかったんです。40~50代になると「おばさん」「魅力的じゃない」と見られる傾向は、昔のほうが強かったと思います。

──今の40~50代女性は、見た目の若い方が多いですよね。

確かに、見た目に関しては魅力的な方たちが増えてきて、40~50代になってもおばさんではなく、一人の女性として見られるようになってきたと思います。ところが、ご本人たちはどうかというと、「もういい歳だ」「中年だ」と自分を低く評価しがち。どんどんきれいになって、経済力も私たちの世代よりあるはずなのに、自己認識がその実像に追いついていない気がします。

──自己認識が低いのは、自分の魅力を知る機会がないからでしょうか? 他者から客観的に評価されないと、気づくのは難しいのかもしれません。

それはありますね。今の40~50代女性は、自分の魅力を認識する機会が少ないのかもしれません。男性の場合は、見た目が少しくらい魅力的でなかったとしても、仕事で実績を重ねれば評価されますよね。そうやってトータルで見てもらえるのに、女性は評価基準が容姿に偏る傾向がある。仕事に関しても男性と比べて実績を重ねるチャンスが少ないので、なかなか評価されない。それらが自己評価の低さに繋がっているのでしょう。日本経済が30年間も冷え込んでいるせいで女性の間で非正規雇用が増えてきましたし、お給料も増えていません。女性が仕事で自己評価を高めるのは、どんどん難しくなっています。

 


無意識のうちに古くなった価値観を引きずっている


──いろんな意味で成功体験が得難い時代になっていますね。

 

日本の企業はこの30年間、業績が悪くても男性正社員の雇用だけはなんとか守ってきました。そこで犠牲になったのが女性ですね。非正規雇用の女性を雇って人件費を抑制し、帳尻を合わせた。その結果、40~50代の働く女性は、2/3以上が非正規雇用だと言われています。

──このお話をうかがって、企業の価値観がバブル時代のまま変わっていない印象を受けました。どんどん稼いで出世するのが「偉い」「成功している」というイメージですね。しかも、その担い手が女性ではなく男性という考えも根強く残っている気がします。

そうなんですよ。とっくの昔にそんな状況ではなくなっているのに、無意識のうちに古くなった価値観を引きずっている。それを「アンコンシャスバイアス」と言いますが、これからの時代は、アンコンシャスバイアスによる幻想から解放されることが大事だと思います。