パラダイムシフトの今、「美の価値観」を刷新し続けてきた美容ジャーナリスト齋藤 薫さんが、注目したいある視点をピックアップします。

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多い少ないではなく、一生モノの友だちがいるか否か?


友だちが多いことは、人柄がいいことの証……なんとなくそんな常識があります。だから逆に友だちがいないのは、暗いか、偏屈か、性格が悪いか……そういう固定したイメージがあるのは確か。

でもそれって、本当でしょうか。もちろん友だちが多い人に、悪い人はいない気がするけれど、友だちが少ない人に善い人が少ないわけでは全くない。友だちの数に関しては、その人の生き方や価値観が決めるもの。1人遊びがトレンドの今の時代はなおさら、人格とは関係ないと考えたいわけです。

だから友だちは、多い少ないではない、肝心なのは“一生モノ”かどうか? 恋愛感情と違って、友情は本物ならば、一生涯続くものであるはずだから……。

 

もちろん、“一生モノ”と言ったって、20代か30代で初めて買ったカシミヤのコートなど、本当に一生着られるかと言ったらそうではない。でも、50代で満を持して買う“一生もの”のカシミアコートは、実際に一生着続けられるはず。いや一生涯着続けるぞという覚悟を持って買うはずなのです。

同じように、50代で真の友だちと思えた人とは一生友だちとして“添い遂げる”はず。だからこの辺で一度、見直すべきなのです。自分にとって友だちとは誰なのか? そもそも友だちとは何なのか?

ちなみに私は昔から、“友だち一生論”へのこだわりが強くあるために、友だちを作るのにとても時間がかかるタイプでした。途中で気まずくなったりしないのか? 本当にこの人となら一生涯、友だちとして“添い遂げられる”のか? 大袈裟ではなくそう考えてしまい、だから意気投合してアッという間に仲良くなる、という形にはなりにくいのです。

アッという間に仲良くなって、アッという間に一緒に旅行とかに行って、アッという間に気まずくなって、アッという間に会わなくなる……そういうことを避けるため。女友だちとの間には、決して軋轢を生みたくないと思うから。意外なほど心身に負荷がかかる友だちストレスは、いたずらに増やしてはいけないと思うからなのです。