まさか私がカンヌ映画祭に!?激務の成果と葛藤
「入社後は、レンタルショップに向けたDVD営業、アニメ番組の宣伝を担当しました。当時は『私なんかが、映画業界が長いプロの方々に指示するなんて』と毎日顔面蒼白。
周囲は百戦錬磨のプロ、私だけが経験不足です。それでも、パブリシストとよばれる、広報をお願いする委託会社の皆さんにとって、リーダーは私。泣いてる暇があったら勉強して、手足を動かすしかありません。無我夢中、毎日脚がつりそうなほど背伸びをしている感覚でした」
お話を伺っていると、目の前の関谷さんは笑顔が絶えず、陽気でおっとりした印象の女性です。その彼女が、新卒で「生き馬の目を抜く」映画業界に入り、苦労と葛藤があったことは、想像に難くありません。
よく世間でイメージされる「シビアで切れ味鋭い」業界人のイメージとは一見正反対の関谷さんですが、そのフットワークの軽さと相手の懐に入るコミュニケーション能力で次第に頭角を現し、社内でも話題の作品の宣伝プロデューサーに抜擢されます。
「宣伝プロデューサーは映画配給会社のいわば花形。でも実態はもちろん厳しい仕事です。映画の制作陣と、劇場営業担当の調整役ですから、板挟みと感じることも多いのが現実。
映画は当たると『作品が良かったから』、コケると『宣伝が悪かったから』とはよく言われること。毎日、人とのつながりにうんざりするほど振り回され、そして信じられないほど人に助けられる、濃い日々でした」
カンヌ映画祭にプロモーションや買い付けにいくなど、華やかな日もあるのと同時に、連日の深夜勤務や休日出勤など、激務が続く日々。
そんな中で、プライベートでの大きな変化が、関谷さんのキャリアを「離脱」するきっかけとなります。
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