――怒りがカジュアルな感情……⁉

基本的にいっつも怒ってます(笑)。怒っている自分のこと、気に入ってるんですよ。頭の回転が早くなって、言葉が溢れ出てくるのが気持ちよくて。怒りや悔しさは創作の元にもなっていて、アイデアが湧くのは、いつも怒っている時です。

――最近は、どんなことで怒ったんですか?

昨日、スタッフに送ってもらい家に着いたら「明日いっぱい取材あるから確認しといてね」って言われて「ん゛―――――!!」ってなりました(笑)。「宿題やりなさい」「今やろうと思ってたとこなのに~!」みたいな。“唸る”という怒り方を手にして、衝突はしなくなりましたね(笑)。

 
 

のんになって、自分の道を切り拓けている実感があります


――三姉妹を演じた大島優子さんや門脇麦さんとは、どんな話をしましたか?

麦さんは、お好きな釣りやキノコ狩りのお話がすごく面白かったです。大島さんとは、二人ともハロウィンの仮装好きだと判明しました。コロナ前は、ゾンビになって外に出たんですって。私は、フレディ、スナッチのビジュアル登場人物全部、「おそ松さん」全員、テレビシリーズの「ワンダーウーマン」といろいろやったんですけど、植木等さんはめちゃくちゃ似てたんですよ! お二人といろいろお話して、気持ちを交わし合えたおかげで、相手を信頼して、リラックスして演技できましたね。

 

――キャストには寺島しのぶさん、永瀬正敏さん、三田佳子さんと、錚々たる名前が連なっています。

本当に素晴らしい方々ばかり集まる中で演技できて、「この台詞、こういうふうに言うんだ!」みたいな発見が毎日あって、刺激的でしたね。みなさんの表現を興味津々で見られる楽しさと、シーンを壊してはいけない緊張感とどちらもありました。

――身近なところで、素敵だと思う方はいますか?

ヘアメイクさん! 私がどんなメンタル状態でも居心地がよくて、人と接する時のバランス感覚が素晴らしいんです。私は感情が偏ってるんですよ。「この人、素敵!」となったら、100の浮かれ具合で向かって行ってしまうので、相手をドン引きさせることがあるんですよね。今回は、そのヘアメイクさんを見習って、麦さんや大島さんに対して自制しました(笑)。

――天間荘を訪れる人それぞれに“人生録”があり、それを基に登場人物の過去が浮き彫りになっていきます。のんさんの人生録に必ず書かれるであろう出来事というと?

のんになったことは大きいですね。のんになって、自分のプロジェクトを立ち上げたり、自分の道は自分自身で切り拓いていく人になれた感覚があります。役者としても、すごく強い自分でいられるので、のんになっていなかったら、もらえなかっただろう強い役が舞い込むようになりました。