私が40代になってその良さに開眼したものがふたつあります。それは神社仏閣巡りと演歌。その共通点は、人生で色々な経験をした今だからこそわかる、侘び寂びのようなものでしょうか。『天城越え』のドロドロした情念の世界がわかるようになるなんて、私も大人になったなあ。そんな風に思うのです。

そして先日、ついに念願だった生『天城越え』を聴きに行って参りました!

 

今回のライブは戸田市民文化会館で開催された、『石川さゆり50周年記念リサイタル 〜プロローグ〜』という、周年ライブの前哨戦のようなスペシャル企画。ファンからのリクエストとその曲の思い出エピソードをさゆりさんが読み上げて、その合間にリクエスト曲を歌う、まるでラジオの公開録画のようなアットホームな雰囲気のコンサートでした。

 

予想通り、ファンの年齢層は高め。しかしその中にちらほらと、20代くらいの若いファンもいて、“さゆりちゃん”のファン層の厚さに驚かされます。最近では椎名林檎さんとコラボしたり夏フェスに出たりと、活動の場を広げてらっしゃいますものね。

MCでは大御所なのに気さくで可愛らしいトーク、歌ではコブシの効いた骨太な歌唱力と、そのギャップにハートを掴まれ、ライブ開始直後から一気にさゆりファンに。50年も現役で活躍されているのは、こういうところなんだろうな〜と。同期は山口百恵さんと森昌子さん。ふたりがあっという間にスターになって行く中、自分だけが地味で売れなかったと自虐されていましたが、その話を聞いて、当時は本当に歌唱力がある人だけが歌手デビューできたんだなあと。ちなみに、調べたらデビューされたのは1973年。私が生まれた年でした。キャンディーズや桜田淳子さんも同期のようで、73年組、豪華! 

そして待望の生『天城越え』! ライブの演奏はすべて生オーケストラなのですが、この曲は編曲も神がかっていて。情念の世界を引き立てるようなロックっぽい演奏に鼓などの和楽器が効果的に使われていて、ものすごくドラマティック。初めて聴いたときはその斬新さに衝撃を受けたものです。そこにさゆりさんの声が乗ることで、最高にかっこいい、あの世界観が完成するのですね。生で聴く天城越え、そりゃあもう、鳥肌ものの素晴らしさでした。
 

Youtube公式チャンネルより、「石川さゆり 2021 スタートコンサート~Sayuri Ishikawa 2021 Start Concert~」
 

曲の合間の、ファンの思い出エピソードコーナーでは、みんないろんな人生をさゆりさんの曲に支えられながら生きて来たんだな〜、としみじみ。一緒に行った中学時代からの幼馴染と、「この年齢になった今、石川さゆりのコンサートを一緒に観てるなんて、何だか感慨深いものがあるねえ」としみじみした夕べ。

聴きたいアーティストのライブは、やっぱり行けるうちに行っておこうと心に誓ったのでした。
 

 


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