共働きにもかかわらず、育児家事を「何もしない夫」に完全に愛想を尽かした麻里さん(40歳・仮名)。わずかな収入差を盾に頑なに協力を拒む夫に「もう1円もいらないから出ていけ」離婚を切り出しますが、彼は反対。

仕方なく「卒婚」を提案し、夫婦関係は静かに終了したと思いきや……なんと、麻里さんは第二子を妊娠したのです。その驚きの理由・妻の策略とは?

前編記事に続き、作家・ライターの山本理沙が「母親の究極の選択」をご紹介します。

 
取材者プロフィール麻里さん(仮名)40歳
職業:会社員
家族構成:既婚、2児の母

  
 


「メリットがない」夫婦関係


「もう、夫はいらない」

育児と仕事をほぼ1人で両立し、苛立ち・疲労・失望を繰り返した結果、麻里さんが辿り着いたのはこの結論でした。

ご主人が非協力的な理由は「収入の差」とのことですが、それはさほど大きなものではなく、ならば彼の収入がなくなったとしても、「何もしない夫が家にいるストレス」の方が麻里さんにとっては負担となると考えたそうです。

「交際当初からデート費用などは基本的に割り勘、結婚してからもずっと共働きだったので、彼に養ってもらったことは一度もないと自負しています。それなのに、育児も家事もせずエラそうに存在しているだけの夫が心底嫌になりました。私にまるでメリットがありません。

でも、離婚に夫は断固反対しました。一応息子を可愛がってはいるので、100%親権は取れないのが嫌だったみたいです。それに、単純に離婚が面倒だったんでしょう」

柔らかな笑顔とは正反対に、冷たく淡々とした口調。ご主人への情は微塵も残っていないことは、麻里さんの様子から嫌というほど伝わります。

「だけど、夫と夫婦という関係でいることが本当にもう嫌だった。だからいろいろと調べて、離婚が嫌なら『卒婚』しようと言ったんです」

卒婚とは、戸籍上の婚姻関係は残したまま夫婦お互いが自由に生活すること。お互いに必要以上に干渉することなく、個々の人生を歩もうという考え方です。

「卒婚の意味を夫に説明すると、離婚よりマシと考えたのか、それとも単純に私の戯言だと思ったのか、深く考えた様子もなく一応承諾しました。書面など作成したわけではないですが、それでも私の気持ちは少しだけ楽になりました。『もういいや、家族じゃないし』と、すべて割り切ることにしたんです」

話を聞く限りでは、麻里さんのご主人はとにかく家族に対して無関心という印象。何事にも鈍感でいることが、彼にとっては心地の良い生き方なのでしょうか。

そして、特にそんな男性にとって離婚は労力を使う大仕事。面倒を避けて現状維持ができるなら、いくら妻に冷たくされようと、やはり鈍感でいる楽な道をぼんやりと選んだのかもしれません。

しかし妻の方は完全に夫を見限り、これをきっかけに婚外恋愛に目覚めたのです。