たとえば月1万円だった電気代が1万3000円になるところを、補助によって1万1000円で済むといったイメージです。料金の絶対額が安くなるわけではありませんから、国民はその効果についてあまり実感しにくいと思います。また、一連の施策はあくまで暫定的な措置ですから、いつまでも続けられるものではありません。
政府は今回のような短期的な措置に加えて、中長期的に物価抑制に効果のある政策をもっと打ち出すべきですが、その点については不十分と言って良いでしょう。また、多くのメディアが指摘しているように、今回の経済対策が半ば金額ありきで進められていることについても、あまり良い傾向とは言えません。
本来こうした経済対策というのは、どのような施策を行うのかについて議論しながら、必要な金額を積み上げていくものです。ところが今回は、具体的な内容を詰める前に、金額だけが次々上乗せされていく状況であり、一部から単なるバラマキとの批判が出てくるのもやむを得ないと思います。
もっとも、日本経済は今もコロナ危機の影響を受けており、ある種の非常事態と言っても過言ではありません。
筆者はコロナ危機が表面化した2020年の前半、国債の大量発行によるコロナ対策の実施について、多くの論者が口を閉ざす中、テレビ番組などで「ただちに50兆円の国債増発が必要」と繰り返し主張していたぐらいですから、いざという時に国債を発行し、大胆な財政支出を行うことを否定しているわけではありません。
しかしながら、国債という借金で財源を確保する手法には限度があます。金額ありきの対策が常態化するようになると、それは日本の財政や金融に対して良くない影響を及ぼす可能性が高いでしょう。
前回記事「5年で1兆円の支援!生産性と賃金向上を目指す「リスキリング」で本当に学ぶべきこと」はこちら>>
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