溜まってしまった脳のゴミを押し流すには?

脳の老化を止めたければお口をきれいに!「歯周病」が認知症リスクを高めていた_img3
写真:shutterstock

歯周病にかかっている期間が長ければ長いほど、脳に溜まる脳のゴミの量は増えていると考えられます。だとすれば、すでに脳のゴミが溜まり始めていると思われる歯周病患者さんは、認知症予防に関して、もう手遅れなのでしょうか?

いいえ、そんなことはありません。

なぜなら、すでに溜まりつつある脳のゴミさえも、正しい歯のケアを行うことで、減らすことができるからです。脳のゴミを減らすメカニズムには、次の2通りがあります。

ひとつは、正しい歯のケアを行って、歯周病菌を徹底的に減らすこと。歯周病菌を減らせば、脳のゴミであるアミロイドβの発生そのものを抑えることができます。

もうひとつは、歯の根元にある歯根膜のポンプ効果で、勢いよくどんどん脳に血流を送り込み、脳内のアミロイドβを押し流すこと。正しい歯みがきで歯周病を予防して、たくさんの歯を温存すれば、それが可能になるのです。

 

歯で噛むことで、アミロイドβが少なくなることを裏付けるデータがあります。広島大学の研究チームが、よく物を噛むことができるマウスと、もともと歯がなく柔らかい物しか食べられないマウスを比較しました。すると、歯のないマウスのほうには大脳皮質にアミロイドβが沈着し、さらに、記憶や学習能力に関わる「海馬」の細胞数が少なくなっていたことがわかりました。歯がないために、脳血流を増やしてアミロイドβを押し流すことができずに、認知症を発症したと思われます。