美容誌『VOCE』の人気漫画『女のはしょり道』を執筆する、漫画家の伊藤理佐さん。38歳で連載を始めてから今年で15年目を迎え、伊藤さんも現在は53歳に。最新刊『けっきょく! 女のはしょり道』では帯に「加齢上等!」と銘打ち、50代になった伊藤さんのリアルな美と健康の悩み、そして日々試行錯誤する楽しいエピソードを綴っています。そこで今回は伊藤さんに、これまでの・そしてこれからの“はしょり道”についてインタビューでお聞きします。

 

伊藤理佐(いとう・りさ)さん
漫画家。1987年「月刊 ASUKA」に掲載された『おとうさんの休日』でデビュー。『おいピータン!!』で第29回講談社漫画賞少女部門受賞。また、『女いっぴき猫ふたり』『おいピータン!!』『おんなの窓』の3作で手塚治虫文化賞短編賞を受賞した。このほか代表的な作品に『やっちまったよ一戸建て!!』『おかあさんの扉』や、アニメ化もされた『おるちゅばんエビちゅ』などがある。お着物姿で、気合いを入れて取材に臨んでくださった伊藤先生。「今日はプロの技を借りて、一張羅のフルメイクで頑張りました」とのこと。

 

45歳から“はしょった”メイク。50代になって新たな変化が


――『女のはしょり道』連載開始の2007年頃は、巷では「盛る」メイクの全盛期で、つけまつげやコンタクトレンズなど“デカ目メイク”が流行っていたそうです。連載当時の伊藤先生は38歳とのことですが、その頃はどんな美容をしていましたか?

伊藤理佐さん(以下、伊藤) 2007年はちょうど、夫の吉田さん(漫画家の吉田戦車さん)と結婚した年でもありまして。私たち、会った当日に付き合うことを決めたんですが、私は1回目の結婚に失敗しているので、今度こそは! と思って結構頑張っていたんですね。ダイエットして痩せたし、毎日美容液もつけたし、アイシャドウもちゃんと塗って。あまりに気合いが入ってるもんで、周りの人には「吉田狩り」ってゲラゲラ笑われてましたけど(笑)。

――「吉田狩り」……! 伊藤先生の“はしょらない”時代ですね。

伊藤 そう。美容に関してはそこが「してる」頂点だったかな。2010年に出産してからは、どんどん「しない」にシフトしていったんです。子どもが小さい時に、化粧水も乳液も、日焼け止めも全部やめて。それが今も続いている感じでしょうか。45歳くらいからはメイクもやめました。

――メイクをやめるきっかけは何だったんですか?

伊藤 メイクして、写真を撮ってもらうじゃないですか。なのに実際に見てみると、なぜかすっぴんと全然変わらなくて。どんなに塗っても「メイクが写真に映らなくなった」んですよ。それが45歳頃でした。全然映えていないから、これじゃ意味なくない? と思ってメイクをやめてみたんですね。

――手鏡ではバチバチにメイクしているつもりでも、写真を見るといまいちメイクが写っていないって、なんだかすごくわかる気がします。

伊藤 そこからしばらくは「私、メイクしないので」っていう道を選んだ人間として、取材の撮影でも眉毛すら描かなかったんです。でも50代になって、今度は「メイクしてない」ことが写真にバッチリ写るようになってきた。何というか、顔面の「私メイクしてません!!」っていう主張がすごいんですよ(笑)。だからここ1年くらいは一生懸命眉毛を描いたりしてます。最近またメイクとの向き合い方がガラッと変わったかもしれませんね。