マツコ・デラックスさんの、日本の働き方に関する発言が話題となっています。日本企業は人材をうまく活用していないという話ですが、日本のカイシャにはどのような課題があるのでしょうか。
マツコさんは出演したテレビ番組で「会社の中で機能している人っていうのが少なすぎるよね、日本って」と発言。続いて「中にはフルタイム出社じゃなくてもいいレベルの人もいるじゃない? 実際は半分くらいしか労働してないとかさ。それだったら、例えば北欧みたいにフルタイムじゃない人を2人雇って、効率良く3時間、4時間とかさ」とも述べており、もっと柔軟性のある仕事のやり方が必要との見解を示しました。
これは、日本企業の組織のあり方について、核心を突いた発言と言えます。
日本の労働生産性は先進諸外国として半分から3分の2程度の水準しかありません。基本的に賃金と労働生産性は比例しますから、労働生産性が低いということは日本の賃金が安いこととイコールになります。労働生産性というのは少しわかりにくい概念ですが、生産性が半分ということは、同じ仕事をするのに日本の場合、諸外国の1.5倍から2倍の人員が必要という意味になります。
日本人社員が、欧米人と比較して半分もしくは3分の2のスピードでしか仕事をこなせないとは思えませんから、どう考えても組織に大きなムダがあることの裏返しと見てよいでしょう。実際、平均的な日本企業では、ほとんど仕事をしていない社員が1割以上存在するとの調査結果もあります。マツコさんの発言はこうした現状のことを指摘しているのだと思います。
日本の賃金を引き上げるためには、組織のムダをなくし、状況を改善していく必要があります。
筆者はよく「日本では会社の中で人材がムダに使われているので、IT化などを通じてムダをなくし、余力を儲かる分野に投入する必要がある」といった趣旨の発言を行っています。
ところが、こうした主張をすると必ずといってよいほど返ってくるのが「余った人材を解雇することはできない」という反論です。よく聞いて(読んで)欲しいのですが、筆者は一言も「社員を解雇しろ」とは言っていません。組織の効率化を行って、余裕が出来た人材を成長分野に配置転換すべきと言っているだけです。
ところが、組織のムダを無くすという話をすると、条件反射的に「解雇」という話に結び付ける人が、かなりの数にのぼるのです。これは非常に驚くべきことだと思います。
こうした条件反射的な反論が当たり前のように返ってくることには、以下のような背景があると筆者は考えています。それは、社員を解雇して社員数を減らさないと賃金は上がらないという「思い込み」です。
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