好きな物事やライフスタイルがブレない一方で、新しい流行や情報も積極的に追いかけ必要に応じて取り入れる柔軟さも持ち合わせている、漫画家・コラムニストの辛酸なめ子さん。長年、第一線で活躍されていますが、昔からちっとも変わらない、肩の力の抜けた自然な若々しさに、お会いする度に密かに驚愕させられます。多くのアラフィフ女性がぶち当たるであろう「そんなつもりなくても迫力出てしまう問題」とも無縁そうです。
本連載ではなめ子さんが自らのアンテナに引っかかった事象を紐解く過程をコラム+漫画の形でお届けすると同時に、「アラフィフの壁」を無理なく、軽やかに越えるヒントを読者の皆様に与えられれば幸いです。2023年一発目の取材は、3年ぶり開催の新年一般参賀。コロナ禍以前は毎年参加していたなめ子さんならではの視点で、コロナ以前・以後の一般参賀を比較します。
コロナ対策で初の抽選導入、倍率は10.6倍
2023年、3年ぶりに開催された一般参賀。コロナ前までは毎年のように参じていましたが、今回はなんと抽選……。しかも1回のお出ましごとに1600人程度の当選というので、受かる気がしません。実際に落選しましたが、担当編集者のTさんが22年の運気を注ぎ込んで当選。ありがたくご一緒させていただくことに。
一般参賀は午前10時10分頃の第1回から午後3時10分頃の第6回まで6回開催され、初回はお出ましになる皇族の人数が多いので倍率が高いことが予想されます。午後になると長和殿ベランダの窓ガラスに西日が反射して、皇族の方々のお姿が若干見えづらいので、当選しやすいような気がしました。実際、Tさんは第6回に応募して当選。午後3時10分頃お出ましの回になりますが、皇居前の広場に集合する時間は午後1時40分と定められていました。
1時間半も前に? と思われるかもしれませんが、民衆の一人として列に並び、統制され、少しずつ移動を促され、余裕を持って長和殿前まで進むのには、必要な時間だと思います。これまで長年の一般参賀への参加で、民衆の一人としての従順性を教え込まれてきた感があります。待ち時間も2時間以上が普通。
例えばコロナ直前の2020年1月2日は、朝8時に東京駅近辺に到着。8時15分に荷物検査、8時30分から砂利の広場で待機、9時40分頃に列が動きだし10時10分に長和殿前でお出ましを拝見、といったスケジュールでした。寒空の下、2時間位待つのが普通。人数が多い時は、そのまま待機して次のお出ましになることもしょっちゅうでした。トイレも行きにくいので飲み物も飲まず、砂利の上で立ち続け、庶民としての立場を実感させられます。
というわけで、今回は1時間半の待機で少しラクでした。しかも駅から皇居前に行く時から、今までの10分の1位の人出で、かなり空いているのを感じました。ちなみに2023年の一般参賀に当選したのは約9600人で倍率は10.6倍。 実際に訪れたのは約7310人だったとか。2020年の一般参賀の参列者は6万8710人で、平成31年は上皇陛下が生前退位直前ということもあって154800人と激混みでした。それに比べると7000人台はかなり少ないです。逆に、お出ましになられる皇族方が「こんなに少ないの?」とテンションが下がってしまわれないか老婆心ながら気がかりです。
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