ちなみにバナナも、スーパー業界にとっては集客の重要なツールと位置付けられており、安いバナナを入り口近くに大量に陳列することで、お客さんの来店を促すというのは定番の手法です。お店によっては、バナナ単品では赤字であっても、集客のためにあえて安売りするところも少なくありません。

同様にビールも集客の鉄板商品であり、たいてい店舗の目立つ場所に「ビール1本あたり、何円」という値札が立っています。今度、スーパーに行くことがあったら、バナナとビールがどこに置いてあるのか注目してください。

一連の取り組みは、値上げによって家計が苦しくなったことと密接に関係しているわけですが、もう少し前向きに捉えることも可能です。

これまでの時代は、大量消費が当たり前であり、多くの食品が食べられないまま廃棄されていました。事業者もこうした売り方に慣れ切っていましたし、消費者もあまり疑問を持つことがなかったかもしれません。しかしながら、今後は単純な節約にとどまらず、環境に配慮したり食品ロスをいかに削減できるかという視点が事業者にも消費者にも求められるようになっています。

スーパーや百貨店で「商品のバラ売り」が増えているワケ。損しないための正しい利用法は_img0
写真/Shutterstock

商品をまとめて売るのではなくバラで販売するというのは、こうした流れに沿った取り組みとも言えるでしょう。

社会貢献はともかく、消費者としては、バラ売りの機会をうまく活用することで節約を実現できますから、うまく活用して、賢く消費したいものです。

 

1点だけ注意が必要なのは、ビジネスの特性上、まとめ買いとバラ売りを比較すると、一個あたりの単価は、バラ売りの方が高くなります。1つ買うときの支出は小額で済みますが、安いからといって、バラ売りの商品をたくさん買い込んでしまうと、結果的に大きな支出になってしまうことも十分にあり得ます。

絶対に必要なもの、どうしても必要なものは可能な限り、まとめ買いで安く済ませ、そうではないものはバラ売りを活用するというのが正しい使い方です。食品など日持ちがしないものについても、まとめ買いが損につながることも少なくありません。毎日のように使い、日持ちがするものはまとめ買い、そうでないものは単品買いというのが基本です。
 

スーパーや百貨店で「商品のバラ売り」が増えているワケ。損しないための正しい利用法は_img1
 


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