腟が若返ると、自分に対する満足度も上がった


その後、これまた、たつのさんに「健康のためです。やってください!」と真剣な顔で言われたマスターベーションも、恐る恐る挑戦。自分でも、どこまでやるんだと思いつつ、『ちつのトリセツ 劣化はとまる』を刊行したあと、ついにバイブレーターまで買ってしまいました。その結果、私の腟は「しようと思えば、セックスだってできるかも……」というところまで復活したのです。まさに、為せば成る!

腟ケアと骨盤底筋体操のおかげで、がに股と猫背が目立たなくなり、つまりスタイルが改善したので、私は俄然、おしゃれ心を取り戻しました。無意識のうちに進んでいた「おばあさん路線」からさっさと撤退。体だけでなく気持ちまで若返り、肩で風を切るとまではいきませんが、まあ、自分ではそのつもりで、胸を張って歩けるようになりました。

それで? 恋やセックスは? ……まあ、それは相手もあることだし、いまさら、ややこしい関係をもつ気もないし、そもそも、そんなにモテるはずもないので、そっちはまったく音沙汰ナシ。私にとって腟ケアの最大の効果は、自分に対する満足度が上がったことだったのです。

 

27年ぶりのセックスに抱いた、意外な感想

「私の腟は干からびてカチンコチン」。老いを受け入れつつあった60代が、27年ぶりのセックスで気づいたこと_img0
写真:Shutterstock

ところが、奇跡が起きました。なんと、好きな人ができたのです。しかも、あちらも私に気のある素振り。びっくり仰天、右往左往、周章狼狽。そして、ここでもまた私は、見る前に飛んでしまったのです。しました。セックス。27年ぶり……。

そこで「めでたしめでたし」になればよかったのですが、そんなにうまくいくはずがありません。せっかく思い切って27年ぶりでしたのに、彼のセックスは、とにかく自分勝手。若いころ、かなりモテたそうで、そのせいか女性にサービスする気などまるでナシ。彼は、女性誌などで「こんなセックスをする男とはさっさと別れたほうがいい」と書かれているような人だったのです。

「モテる男はセックスが下手というのは、本当なんだなあ」と、妙に感心してしまいましたが、感心している場合ではありません。彼とのセックスをがまんして続ける気にはなれず、別れようかと本気で考えました。それでも別れる決心がつかなかったのは、セックスのことを除けば、彼が大好きだったからです。