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「夢だったカンヌで、仕事に情熱を注ぎ続けるのが私の人生」。そう語るのは、カンヌで開催される世界最大級のTVコンテンツ見本市「MIPTV/MICOM」を統括するパリ在住の50代の女性、ルーシー・スミスさんです。エンターテイメント業界の国際流通の中心でキャリアを築く彼女の人生は、固い信念と人との出会いがすべてと言えるもの。多様性のあるグローバル時代を生き抜く1人の女性の物語を届けます。

 

コロナ禍でもチャレンジすることが好き
 

ディズニーやNetflixといったグローバルメディアから、各国の放送局や独立系のヒットメーカーまで集まるその規模は、世界100か国から1万人。南仏カンヌで毎年開催されるビジネスイベントを取り仕切るのがルーシー・スミスさんの仕事です。TVコンテンツ見本市MIPTV/MICOMのディレクターに就任してからまもなく2年を迎えます。

華やかな世界で働くルーシーさんですが、キャリアの積み上げ方は地道にコツコツ。パリに本社があるMIPTV/MIPCOMを主催するRXフランス(旧リード・ミデム)に入社した2006年以前からエンターテイメント業界に携わり続け、一貫した姿勢で仕事に臨んでいます。

「私の仕事は、エンターテイメント業界の専門家としてマーケティングからTV番組の売買、企画開発まで、それぞれがどのように機能しているのかを理解すること。でも、何より大事なのはコンテンツそのものを理解すること、誰が何をしているのかを知り得ることだと思っています。そして、エンターテイメント業界の中で求められる役割を作り出す。そんな意識を持ちながら、常にチームと一緒にビジネスを発展させるための新しいチャンスを探し続けています」

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ただし、コロナ禍のこの数年は、決して順風満帆というわけではなかったはず。60年近く続くリアルイベントを全てオンラインに切り替えたり、状況を見ながら段階を追ってリアル開催を復活させたりと、そんな時期を乗り越える必要があったからです。

ルーシーさん自身も「統括する立場を引き受けるのに、これほど難しい時期はありませんよね」と、本音をもらします。それでも、エンターテイメント業界のどのビジネスイベントよりも早く完全復活を成功させていく。2022年の秋は3年ぶりに1万人以上の業界人がカンヌに戻った姿を見て、実感がこもった言葉を口にします。

「チャレンジすることがもともと好きなんです。どう対処すればいいのか、どうしたら実行できるのか。自分ならそれができると信じて引き受け、ひたすら進み続けました。素晴らしいチームにも恵まれ、結果を残すことができ、どれほどホッとしたことか。強いリーダーであり続けようと努めて本当に良かったと思っています」

 
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