想いが重なる今の自分だからこそ挑める大切な作品


——『リエゾン-こどものこころ診療所-』は、児童精神科クリニックを舞台に、自らも発達障害を抱える院長と研修医のコンビが、生きづらさを抱える子どもたちに寄り添う姿を描いた物語。原作漫画に触れてどんな感想を抱きましたか?

 

山崎育三郎さん(山崎):普段から自分自身が子育てで感じていることや想いが重なる部分が多く、原作漫画を読んでいたら涙が溢れました。悩ましい事例を解決に導いたり、明確な答えを提示するわけでないけれど、主人公の佐山さんが発達障害という名の“凸凹”を抱える子どもたちに寄り添うシーンでは、すごく温かい気持ちになって。今の自分だからこそ挑める大切な作品に出会えたと思いました。

 

——研修医の遠野志保を演じる松本穂香さんとは、2021年公開の映画『ミュジコフィリア』でも共演されていました。久しぶりにお芝居で掛け合いをされてみた感触を教えてください。

山崎以前から感じていましたが、松本さんが役に誠実に向き合っていて、繊細かつストイックにお芝居と向き合っているので、一緒のシーンでは安心して撮影に集中できるし、僕自身も引き出してもらっている感覚があります。今回は専門的な用語も多く、しかも志保さんは一気にまくしたてるように喋る場面も多いのですが、基本的に間違えないんですよ。重要なシーンのお芝居も、ほぼ一発で決めてしまう。すごく尊敬している役者さんです。

——撮影現場ではどんな会話をすることが多いですか?

山崎「温かいもの食べたいね」という話ばかりかもしれません(笑)。物語の舞台となるクリニックが大自然の中にある一軒家で、換気のために窓を空けて撮影していることもあって、いつも部屋がキンキンに冷えているんですよ。子どもたちも多い現場なので、寒さに負けず伸び伸びとお芝居してもらうために、ラーメンを差し入れさせていただきました。